システマ (格闘技)

システマとは

システマは、ロシア発祥の武術であり、軍隊格闘術としても知られています。その最大の特徴は、徹底的な脱力と柔軟な動作にあります。一見すると、合気道のような印象を受けるかもしれませんが、システマの源流は、リャブコ家に代々伝わるロシアの伝統武術にあります。

歴史

システマは、ミハイル・リャブコによって創設されました。リャブコは、ソ連時代のヨシフ・スターリンのボディーガードから武術を学び、その後、自身が体験した実戦経験を基に、システマを体系化しました。彼は15歳でスペツナズ（特殊部隊）に入隊し、数々の特殊部隊で戦略顧問を務め、現在はロシア法務大臣補佐官の職にあります。システマは、リャブコの実戦経験から生まれた、非常に実用的な武術と言えるでしょう。

1990年代初頭のソ連崩壊後、長らく謎に包まれていたロシア武術が次々と公開されるようになりました。システマもその一つであり、その実戦的な内容から、世界中で注目を集めるようになりました。

技術的特徴

システマは、単に技を覚えるのではなく、身体の使い方の原理を習得することに重点を置いています。その基本原則は以下の4つです。

Keep breathing（呼吸し続ける）: 常に呼吸を止めないことが重要です。
Stay relaxed（リラックスを保つ）: 無駄な力を抜き、柔軟な動きを可能にします。
Keep straight posture（姿勢を真っ直ぐ保つ）: 体幹を安定させ、バランスを保ちます。
Keep moving（移動し続ける）: 常に動き続け、相手の攻撃をかわします。

これらの原則に基づき、システマは、ナイフ、槍、棍棒、拳銃、突撃銃などの武器を使った攻防技術も多く含んでいます。これは、ロシア伝統武術の理念である、あらゆる状況下での戦闘に対応できる能力を重視しているためです。

世界への普及

システマは、現在ではロシア国内だけでなく、アメリカ、イギリス、フランス、ドイツ、セルビアなど、世界各国で普及が進んでいます。日本では2005年に公式ジム「システマジャパン」が設立され、一般向けのセミナーも開催されています。ただし、軍事・警察関連機関向けの戦闘術は、一般向けには指導・公開されていません。

メディアでの登場

システマは、その独特な動きや実戦的な側面から、漫画、小説、アニメ、テレビドラマ、ゲームなど、様々なメディア作品に登場しています。

漫画

ディアスポリス 異邦警察 - スペツナズ出身の元軍人ユーリが使用。
アクメツ - 主人公アクメツの武術として登場。
TOUGH - ロシアの逃亡軍人ミハイルが使用。
嘘喰い - レーシィ船長の部下ヴォジャが使用。
ツマヌダ格闘街 - ドラエの姉、アナスタシアの護衛役であるバウワンが使用。
外見至上主義 - 蛍介の友人、四宮がケンカで使用。
魔法少女特殊戦あすか
変人のサラダボウル@comic - 主人公の鏑矢惣助が習得している設定。

小説

ヤングガン・カルナバル - ロシアン・マフィアの殺し屋タチアナが使用。
変人のサラダボウル - 主人公の鏑矢惣助が習得している設定。

アニメ

ハヤテのごとく！ CAN'T TAKE MY EYES OFF YOU - ツグミ・ルリが使用。

テレビドラマ

仮面ライダービルド - 万丈龍我が会得。
ディア・ペイシェント〜絆のカルテ〜

ゲーム

コール オブ デューティ ブラックオプス - ヴィクター・レズノフが使用。
第2次スーパーロボット大戦Z 破界篇 - クロウ・ブルーストが使用（テキスト描写のみ）。
デッド オア アライブ5 アルティメット アーケード - マリー・ローズが使用。
ストリートファイターV - ギルの秘書であるコーリンが使用。

お笑い

みなみかわ - 自らが出演するテレビ番組で披露することがある。

関連項目

システマは、他の格闘術や戦闘術とも関連があります。

CQC (近接格闘術)
コマンドサンボ
ゼロレンジコンバット
自衛隊格闘術
フェアバーン・システム
ローコンバット
クラヴ・マガ

外部リンク

russianmartialart.com：トロント本部の公式ホームページ（英語）
Systemaryabko.com：モスクワ本部の公式ホームページ（ロシア語）（英語）
システマジャパン
* Systema SpetsNaz"Russian Style"：システマの解説サイト（英文）

システマは、その独特な身体操作と実戦的な技術から、多くの人々を魅了し続けています。

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