シトロエン・DS3

DS 3：シトロエンから生まれた個性的なコンパクトカー

DS 3は、フランスの自動車メーカー、シトロエン（後にDSオートモビルズ）が2009年から2019年まで製造・販売していたBセグメントの3ドアハッチバック型コンパクトカー、およびセミオープンカーです。そのスタイリッシュなデザインと、豊富なカスタマイズオプションで人気を博しました。

概要

DS 3は、2009年のジュネーブ・モーターショーで発表されたコンセプトカー「DSインサイド」の市販版として登場しました。同年9月のフランクフルトモーターショーで発表され、欧州では11月、日本では2010年5月に販売が開始されました。プラットフォームは2代目シトロエン・C3と共有しています。

2012年には、セミオープンモデルの「DS3カブリオ」がパリサロンで発表され、その後発売されました。日本では2013年7月に販売が開始されています。

車名の「DS」は、1955年に発売されたシトロエンの大型高級車「シトロエン・DS」に由来します。DS 3は、C3やC5などの「Cライン」とは異なる、高級車シリーズ「DSライン」の第一弾として投入されました。「Different Spirit」の意味も込められており、シトロエンブランドの新しい価値を表現しています。

外観上の特徴は、DSをモチーフとした「フローティングルーフ」です。これは、ルーフが浮いているように見えるデザインで、DS 3の個性を際立たせています。また、ボディやルーフ、ダッシュボード、シートカラーなどを自由に組み合わせられる「ビークルパーソナライゼーション」が用意されており、自分だけのオリジナルな1台を作り上げることができました。

2016年には、DSブランドの独立に伴い、DS 3はシトロエンブランドからDSブランドへと販売が変更されました。フロントグリルにはDSロゴが配置され、「DS LEDビジョン」と呼ばれるヘッドライトが採用されました。ボディカラーやルーフカラーも一新され、ボディ剛性も向上しています。

2019年、DS3クロスバックの登場に伴い、DS 3は販売を終了しました。

メカニズム

ボディバリエーションは、当初3ドアハッチバックのみでしたが、後にセミオープンの「カブリオ」が追加されました。カブリオは、フィアット500Cと同様に、両サイドのパネルを残して中央部分だけを開閉する電動ソフトトップを備えています。開閉は4段階に調整可能で、フルオープン時にはハイマウントストップランプが作動する設計となっています。

エンジンは、ガソリン直列4気筒1.4L/1.6L/1.6Lターボの3種類と、ディーゼル1.6Lの2種類が用意されました。トランスミッションは、5速/6速MT、および4速ATが組み合わされました。

2014年には、「Chic」グレードのエンジンが、新開発の1.2L直列3気筒エンジンに換装されました。これにより、軽量化と燃費向上が実現しています。また後期モデルでは、1.2LターボエンジンとアイシンAW製6ATの組み合わせも登場しました。

モータースポーツ

DS 3は、モータースポーツの世界でも活躍しました。2011年からは、WRC（世界ラリー選手権）の新規定WRカーである「DS3 WRC」のベース車となりました。また、IRC（インターコンチネンタル・ラリー・チャレンジ）やERC（ヨーロッパ・ラリー選手権）など、様々な地域選手権にも参戦しました。世界ラリークロス選手権では、ペター・ソルベルグがドライバーズタイトルを2連覇しています。

DS 3は、その個性的なデザインと、走行性能、そしてモータースポーツでの活躍を通じて、多くのファンを魅了したコンパクトカーでした。

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