シドラ湾事件 (1981年)

シドラ湾事件

シドラ湾事件は、1981年8月19日に地中海南部で発生した、アメリカ海軍とリビア空軍の間の軍事衝突に関する出来事です。この事件では、アメリカ海軍がリビアの軍用機を2機撃墜しました。この衝突は、アメリカとリビアの間の緊張関係をさらに悪化させる結果となりました。

概要

リビアは1973年以降、シドラ湾およびその周辺海域を自国の領海として主張していました。具体的には、ベンガジとミスラタを結ぶ線を境界とし、その内側をリビアの領海と認定しました。一方、アメリカ合衆国はこの主張が過剰であり、国際法上認められないとして、シドラ湾の一部は公海であり航行の自由が保障されるべきだと反論しました。これを受けて、アメリカはリビアの主張する境界線内においても艦隊演習を行い、リビアへの圧力を強めました。

1981年8月、アメリカ海軍は空母「ニミッツ」と「フォレスタル」を中心にシドラ湾で演習を実施しました。この行動はリビアの軍にとって挑発的なものであり、リビア空軍の戦闘機がアメリカ艦隊に接近することを誘発しました。

8月19日の朝、VF-41の2機のF-14A戦闘機が空母ニミッツから発艦しました。彼らはS-3哨戒機の護衛をしながら、戦闘空中哨戒（CAP）の任務にあたっていました。その際、E-2C早期警戒機はトリポリ近郊の基地からリビアのSu-22が接近しているのを探知しました。アメリカのF-14Aはこの情報をもとに、リビアの軍用機に接近し、ドッグファイトの準備をしました。

リビアのSu-22はAA-2空対空ミサイルを発射しましたが、F-14Aは見事に回避し、攻撃をかわした後、それぞれの機体は二手に分かれてリビアの航空機を追尾しました。2機のF-14AはAIM-9空対空ミサイルを使用し、双方のSu-22を各1機ずつ撃墜しました。この戦闘の後、F-14Aは空母に帰還しました。

その後、F-14Aが空母に着艦すると、さらに2機のMiG-25がニミッツに接近しました。F-14Aはスクランブル発進しMiG-25に向かいましたが、MiG-25は基地の方向へ戻る動きを見せたため、F-14Aも引き返しました。ところが、その後再びMiG-25が空母へ向かってくる兆候を示したため、F-14Aは交戦の準備をしました。しかし、最終的には交戦に至ることはありませんでした。

結果

アメリカ海軍の報告によると、撃墜されたSu-22のパイロットは脱出したとのことですが、リビア側はその後、パイロットを発見することができませんでした。シドラ湾事件は、アメリカとリビアの間の緊張を象徴する重要な出来事であり、その後の米リビア関係に大きな影響を与えることとなりました。

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