シボレー・アバランチ

シボレー・アバランチ

シボレー・アバランチは、アメリカの自動車メーカーであるゼネラルモーターズ（GM）が、傘下のシボレーブランドで展開していたフルサイズ規格のスポーツユーティリティトラック（SUT）です。その名称である「アバランチ」は、英語で「雪崩」を意味しています。

概要

このモデルは、同社の大型SUVであるシボレー・サバーバンを基礎として開発されており、特徴的なのはリアセクションが開放的な荷台（オープンベッド）になっている点です。荷台には標準で脱着式のカバーが装備され、積載物を保護する機能も備わっています。

アバランチの最も革新的な機能として知られるのが、「ミッドゲート」と呼ばれる、キャビン（乗員空間）と荷台を隔てる可動式のパネルです。このミッドゲートは、後部座席を前方に折り畳み、さらにリアウィンドウを取り外した上で水平に倒すことが可能となっています。これにより、キャビン後部と荷台が一体化し、通常では積載困難な非常に長い荷物、例えばサーフボードや建設資材などを積むことができるようになります。ただし、このミッドゲートを倒した状態では、当然ながら後部座席に人を乗せることはできません。

GMは、アバランチとその兄弟モデルであるキャデラック・エスカレードEXTを「スポーツユーティリティトラック（SUT）」というカテゴリーで販売しました。アバランチは、シボレー・タホ、シボレー・サバーバン、GMC・ユーコンといったフルサイズSUV、そしてシボレー・シルバラードやGMC・シエラといったフルサイズピックアップトラック、さらにはハマーH2など、複数のモデルと共通のプラットフォームを共有していました。

歴史

初代（2001年 - 2006年）

GM初のSUTとして、アバランチはフォード・エクスプローラー・スポーツトラックの後に続き、2001年に2002年モデルとしてデビューしました。GMT800と呼ばれるプラットフォームをベースとし、フルサイズSUTとしては初めてのモデルとなりました。登場当初のフロントデザインは、同時期にフェイスリフトを受けたシボレー・シルバラードと共通性を持ちながらも、ヘッドライトの形状など細部にはアバランチ独自の意匠が見られました。エンジンラインアップには、シルバラード・ヘビーデューティーにも搭載されていた大排気量8.1L V8エンジンを選択可能なグレードも設定されていました。その革新性が高く評価され、2002年には米国の著名な自動車専門誌「モーター・トレンド」の「SUV・オブ・ザ・イヤー」に選ばれています。2003年モデルからは、フロントフェイスがシルバラードと完全に共通のデザインに変更されました。

2代目（2006年 - 2012年）

新しいGMT900プラットフォームを基礎とした2代目は、シボレー・タホやサバーバンのモデルチェンジからやや遅れて、2006年2月のシカゴオートショーで2007年モデルとして発表されました。この世代では、フロントデザインが先代までのシルバラード系から、タホやサバーバンと共通のより洗練されたデザインへと変更されました。

生産終了

革新的なコンセプトで登場し、一定の成功を収めたアバランチでしたが、残念ながらその歴史は長くは続きませんでした。2012年4月13日、GMは同年をもってアバランチの生産を終了することを正式に発表しました。最終モデルイヤーとなる2013年モデルでは、製造終了を記念した特別仕様車「ブラックダイアモンドエディション」が設定され、その歴史に幕を閉じました。

アバランチは、SUVの快適性とピックアップトラックの積載性を、特にミッドゲートという独自の機能で高いレベルで融合させた、自動車史においてもユニークな存在として記憶されるでしょう。

関連車両

フォード・エクスプローラー・スポーツトラック
ホンダ・リッジライン
スバル・バハ
シボレー・サバーバン
シボレー・シルバラード
キャデラック・エスカレード
* GMC・ユーコン

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