シボレー・クルーズ

シボレー・クルーズ：グローバルに展開されたGMの乗用車

シボレー・クルーズは、ゼネラルモーターズ（GM）がシボレーブランドで販売していた乗用車です。日本市場においては、初代モデルと2代目以降のモデルでは開発背景や車種コンセプトが大きく異なります。

初代クルーズ (2001年 - 2008年)：スズキとの協業による個性派コンパクトカー

初代クルーズは、スズキ・スイフトをベースに開発されました。GMのデザインチームが手がけたスタイリングは、15インチの大径タイヤや高めの最低地上高を採用することで、SUV風の力強い印象に仕上げられています。コルベットを彷彿とさせるテールランプも特徴的でした。ヘッドランプやフェンダーなどのデザイン要素は、後に欧州向け初代イグニスやスバル・ジャスティにも採用されました。

生産はスズキの湖西工場で行われ、日本国内に加え、オーストラリアではホールデン・クルーズとして販売されました。エンジンは1.3Lと1.5Lの直列4気筒DOHCが用意され、駆動方式は前輪駆動と電子制御カップリングによる4WDが選べました。販売チャネルはスズキアリーナ店とGMシボレー店が中心でした。

初代クルーズは、2001年の発売以降、マイナーチェンジを繰り返し、2008年に生産終了となりました。販売期間中、様々な特別仕様車も投入され、ユーザーの多様なニーズに対応しました。累計販売台数は4万7144台でした。

2代目クルーズ (2008年 - 2016年)：世界戦略車種としての登場

2代目クルーズは、初代とは全く異なる、GMグループの世界戦略車種として登場しました。Cセグメントファミリーカーに位置付けられ、オプトラやコバルトの後継車種として、セダン、5ドアハッチバック、5ドアステーションワゴンがラインナップされました。

開発はGMヨーロッパの研究開発センターとGM大宇のデザインスタジオが共同で行われ、GMデルタプラットフォームの第2世代を採用しました。エンジンは地域によって異なり、1.6L、1.8L、1.4Lターボ、1.7Lディーゼル、2.0Lディーゼルなどが用意されました。トランスミッションは6速MTと6速ATが搭載されました。

韓国では当初「ラセッティプレミア」として販売されていましたが、GM大宇が韓国GMに社名変更したことに伴い、「シボレー・クルーズ」に変更されました。オーストラリアやニュージーランドでは「ホールデン・クルーズ」として販売されました。生産拠点も韓国、中国、インド、アメリカ、ロシア、タイ、オーストラリアと多岐に渡りました。

2代目クルーズは、世界各国で販売され、地域特性に合わせた仕様が展開されました。日本市場への導入は検討されましたが、最終的には実現しませんでした。

3代目クルーズ (2016年 - 2020年)：北米市場中心の展開

3代目クルーズは、2016年から北米市場を中心に販売されました。先代よりも車体を大型化しつつも軽量化と高剛性化を図り、安全装備や車載コネクティビティも充実させました。新開発の1.4Lガソリンターボエンジンを搭載した点が特徴です。欧州やオセアニア市場では、オペル/ホールデン・アストラが後継車種となりました。

生産はオハイオ州の工場で行われましたが、販売不振により生産終了、2020年には中国での販売も終了しました。

まとめ

シボレー・クルーズは、初代の個性的なコンパクトカーから、グローバル戦略車種としての展開を経て、販売地域を絞り込むという変遷を辿りました。スズキとの協業、GMグループ内での開発体制、そして市場環境の変化が、クルーズの歴史に影響を与えたと言えます。

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