シボレー・コバルト

シボレー・コバルト（Chevrolet Cobalt）は、アメリカの自動車メーカーであるゼネラルモーターズ（GM）が製造し、シボレーブランドの下で販売されている乗用車です。

初代 (2005年-2010年)

北米市場におけるGMの主力コンパクトカーであったシボレー・キャバリエ、そしてトヨタ・カローラをベースに開発されたプリズムの統合後継モデルとして開発され、2004年から2005年モデルとして市場に投入されました。開発当時、SUV人気が一服しコンパクトカーへの関心が高まり始めていた状況を受け、従来のモデルより若い世代を強く意識したコンセプトが採用され、日本車や韓国車などの競合する小型車に対抗するため、商品力の大幅な向上が図られました。

前身のキャバリエが使用していた旧態化したJプラットフォームに代わり、コバルトでは新たに開発された小型車向けグローバルプラットフォームであるデルタプラットフォームが採用されました。このプラットフォームは、オペル・アストラ、サターン・アイオン、シボレー・HHRなど、他のGMグループの車両にも広く使われました。

ボディタイプはキャバリエから引き継がれたクーペとセダンの2種類が設定されました。グレード構成はLS、1LT、2LT、3LT、LTZ、そして高性能版のSSがラインナップされました。最上級グレードのLTZは、クローム仕上げのグリルやモールで外観にアクセントが加えられています。

搭載されるエンジンは、直列4気筒 DOHC 2.2Lが基本でしたが、2009年モデル以降は可変バルブタイミング機構（VVT）が備わったものに換装されました。トランスミッションは5速マニュアルトランスミッション（MT）または4速オートマチックトランスミッション（AT）が組み合わされました。

ホイールはグレードによって異なり、LSと1LTは15インチスチールホイールにフルカバー、2LTは16インチシルバーペイントスチールホイール、3LTとLTZは16インチアルミホイールが標準装備となりました。オーディオシステムも充実しており、LS以外のグレードではMP3再生に対応し、iPod用のジャックも装備されていました。

生産はアメリカ合衆国オハイオ州にあるローズタウン工場で行われました。コバルトは2010年モデルをもって生産が打ち切られ、そのポジションはGMの新たな世界戦略車であるシボレー・クルーズへと引き継がれることとなりました。

モデルライフ後期にあたる2014年2月には、大規模なリコールが実施されています。これは、重いキーホルダーをキーシリンダーに取り付けて使用することで、イグニッションスイッチが誤動作し、最悪の場合、エアバッグが展開しなくなる危険性があるというものでした。所有者に対しては、改修措置が完了するまでの間、キーホルダーから余分な鍵やアクセサリーを取り外すよう勧告が出されました。

SS (高性能グレード)

2000年前後のスポーツコンパクト人気の高まりを受け、高性能なコンパクトカーが独自のカテゴリーとして確立される中、GMもコバルトに高性能版である「SS」（Super Sportの略）グレードを設定し、日本車などアジア車が先行していたこの市場に参入しました。

コバルトSSは、登場時期や搭載されるパワートレインによって大きく3つの仕様に分けられます。最初に登場したのは、最高出力205hpを発揮するスーパーチャージャー付き2.0Lエンジンと5速MTを搭載したモデル（後に2SSと呼ばれる）で、クーペのみの設定でした。このパワートレインは、サターン・アイオンレッドラインと共通のものでした。2SSには、ショートストロークシフター、パフォーマンスハンドリングサスペンション、18インチアルミホイール、XMサテライトラジオなどが標準で装備されました。

その約1年後、2006年モデルとして自然吸気エンジン搭載版（1SSと呼ばれる）がラインナップに追加されました。こちらはクーペとセダンの両方に設定され、VVT付きの2.4Lエンジンが搭載されました。トランスミッションは5速MTに加え4速ATも選択可能でした。1SSには17インチアルミホイールが標準装備となりました。

2008年モデルイヤーからは、従来の2SSに代わって、サターン・スカイレッドラインなどにも搭載された、最高出力260hpを発揮する可変ジオメトリーターボチャージャー付き2.0Lエンジンを搭載した新しいSSが登場しました。また、従来の1SSはこのモデルイヤーからコバルトスポーツと改称され、そのモデルイヤー限りで廃止されました。

高性能モデルであるコバルトSSについても、コーナリング時のボディロールが大きいなど、一部の専門家やユーザーからは日本製のスポーツコンパクトと比較して走行性能の煮詰めが甘いという評価も聞かれました。

ポンティアック・G5

ポンティアックブランド向けには、コバルトのバッジエンジニアリングモデルが製造・販売されました。このモデルは2004年にカナダとメキシコで先行して発売され、2006年夏にはアメリカ合衆国でもクーペのみのラインナップで発売が開始されました。

この車両は、アメリカ市場への投入に合わせて「G5」という車名に統一されましたが、それ以前はカナダでは「パースート（Pursuit）」（2004年-2006年初）のち「G5パースート」（2006年春-夏）、メキシコでは「G4」という車名で販売されていました。

G5はポンティアック・サンファイアの後継車種にあたりますが、前身モデルとは異なり、コバルトとの外観上の差異はグリルやテールランプなど小規模な変更に留まっています。

その他

初代コバルトには、設計上の問題点も一部指摘されていました。例えば、アームレストを下ろした際にシフトレバーと干渉し、マニュアルトランスミッション車でシフトチェンジがしにくくなるという、実用性に影響するような設計ミスも存在しました。

2代目 (2011年-現在)

初代の生産終了からおよそ1年後、2011年6月17日にブエノスアイレスモーターショーでコンセプトモデルとして披露され、同年11月4日に市販モデルが発表されました。この2代目コバルトは、GM・ド・ブラジルが中心となって開発した小型セダンであり、主に南米、欧州、中東、アフリカといった新興国市場の40カ国で販売される世界戦略車として位置づけられています。

プラットフォームには、シボレー・アベオ（ソニック）などにも採用されているGMガンマIIプラットフォームが使用されました。ボディサイズは、アベオ（ソニック）とクルーズの中間に位置づけられる大きさです。特にトランクスペースは563リットルもの大容量を誇り、実用性が重視されています。

搭載されるエンジンは市場によって異なり、1.3Lから1.8Lの範囲で設定されています。ブラジル市場向けには、エタノールとガソリンの両方を使用可能なフレックス燃料エンジンが2種類用意されました。1.4L SOHC 8Vエンジンは、エタノール使用時に最高出力75kW（101hp）、ガソリン使用時に71kW（96hp）を発揮します。また、1.8L SOHC 8Vエンジンは、エタノール使用時に79.4kW（107hp）、ガソリン使用時に78kW（105hp）を発生させました。

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