シマジタムラソウ

シマジタムラソウ（島路田村草）

シマジタムラソウ（Salvia isensis）は、シソ科に属する多年生の植物で、特に東海地方に焦点をあてた固有種です。環境省の発行するレッドデータブックでは絶滅危惧II類（VU）とされ、その存在は非常に危機的な状況にあります。ここでは、この植物の特性、生育環境、及び保全状態について詳しく述べます。

特徴

葉と茎の構造

シマジタムラソウの葉は茎の下部に対生で集まっており、羽状に2回複葉を形成しています。小葉は卵型で尖端がなく、特に先端のものが大きくなっています。葉の表面には葉脈に沿ったくぼみがあり、裏面で浮き出た葉脈が見受けられます。また、鈍い鋸歯が葉の縁に見られます。茎は直立し、高さは10〜60cmに達します。下部には長い開出毛が存在し、全体的に毛が豊富です。

花の特徴

シマジタムラソウは7月から9月頃に淡青紫色の花を穂状に咲かせます。この花はアキノタムラソウに似ており、萼の外側には腺点や粗毛が散見されます。萼の長さは約5〜6mmで、内側には輪状の白い毛が生えています。花冠は唇形で、長さは8〜10mmでアキノタムラソウより短いです。雄蕊は2本あり、これが花冠から直線的に大きく突き出しています。花は下から順に開花し、特に昆虫の媒介による雄性先熟の特性により花が順次開いていく様子が観察されます。分果は長さ1.2mmの楕円形をしています。

分布と生息環境

シマジタムラソウは静岡県の遠州地方から愛知県の東三河、三重県の南勢地方にかけての蛇紋岩を母岩とする地域に生息しています。特に半裸地や疎林、または愛知県から尾張地方にかけての湧水湿地周辺の草地の中で見かけます。この植物は、和名の由来である「島路」が伊勢神宮の宮域林で発見されたことに関連しています。一方、種小名の「isensis」も伊勢に由来しています。

このように、シマジタムラソウは非常に限られた生息地域に適応しており、環境の変化に敏感です。遷移が進むことで日照不足が生じたり、湿地の開発によって生息地が縮小する危険性があります。

保全状態評価

シマジタムラソウは、環境省のレッドリストにおいて、絶滅危惧II類（VU）とされており、各都道府県でもその評価が異なっています。静岡県では同様に絶滅危惧II類（VU）である一方、愛知県では準絶滅危惧（NT）、三重県では絶滅危惧IB類（EN）に分類されています。この評価からも、シマジタムラソウの保護の必要性がうかがえます。

参考文献

• - 北村四郎・村田源・堀勝、『原色日本植物図鑑　草本編〔1〕　合弁花類　改訂版』、保育社、1978年
• - 三重県環境森林部自然環境室、『三重県レッドデータブック2005　植物・キノコ』、2006年

このように、シマジタムラソウはその生態系において重要な役割を担っており、その保護に関する取り組みが求められています。

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