シャイア

シャイアとは

シャイア（shire）という言葉は、イギリスとオーストラリアの行政区域を特定するために使われる用語です。歴史的な背景を持つこの単語は、アングロサクソン時代にさかのぼり、イングランド中部および南部に住んでいた人々によって生み出されました。

歴史的背景

シャイアは、「shire reeve」、すなわちシェリフと呼ばれる王の官職によって統治されていました。通常、シャイアはハンドレッド（hundreds）やワーペンテイクス（wapentakes）といったさらに小さな単位に分割されていましたが、現在では英語では、ディストリクトに分かれているのが一般的です。また、スコットランドでは「shire」の発音が異なり、シャイアは「ʃaɪə」と発音されますが、イングランドやウェールズでは「シャー」や「シア」という形で使用されます。

イギリスのシャイア

イングランドおよびウェールズでは、特に「シャイア・カウンティ」という言葉が、都市カウンティでないカウンティを指す際に用いられます。これに該当するカウンティは、伝統的にそのカウンティタウンの名称を含んでいます。
具体的には、ハンティントンシャーやヨークシャーがありますが、前者はケンブリッジシャーの一部として機能しており、後者は複数の州に分けられています。デヴォンやドーセットなどのカウンティも、かつてはシャーと呼ばれることがありましたが、現在では古い用法となっています。

ウェールズにおいては、多様なシャイアの名前が見られます。例えば、ブレックノックシャーやカーディガンシャーなどがあります。これらはそれぞれ独自の歴史を持ち、ウェールズ伝統的カウンティの区分にも影響を与えています。

カウンティ以外のシャイア

「シャイア」という言葉は、地域行政の範囲を超えて使われることがあり、特定のカウンティに関連しない地域にも適用される場合があります。ノースヨークシャーのリッチモンドシャー地域などは、その一例です。このように、シャイアという言葉は、イングランドにおける地方行政の枠を超えて多様な用途で使われることがあるのです。

スコットランドとオーストラリアのシャイア

スコットランドでもシャイアは独自の位置づけを持っています。シェリフ職やカウンティを指す際の用法は一貫しておらず、19世紀以降に見られる傾向があります。また、オーストラリアでは、シャイアは人口の少ない行政区分を指すための一般的な用語として定着しています。特にニューサウスウェールズ、ビクトリア州、クイーンズランド州等でその意味が用いられ、シャイアには一定の権限が与えられています。

例として、シドニーの「都市シャイア」には、サザーランド・シャイアやボウルクハム・ヒルズ・シャイアがあり、これらは都市規模でありながら、シャイアの名を保持しています。

バージニア州のシャイア

アメリカのバージニア州にも、シャイアという用語が存在しましたが、1643年にカウンティと改名された歴史があります。これらのシャイアは、現在でもいくつかの形で行政区域として認知されています。

まとめ

シャイアはその歴史的背景から多くの地域で異なる意味と用法を持っている言葉であり、当地域での農村の共同体や地域行政の重要な単位として機能しています。従って、シャイアという単語を理解することは、イギリスやオーストラリアの地域性を知る上で非常に重要です。

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