シャルル6世 (フランス王)

シャルル6世の生涯とその治世

1. 幼少期と即位

シャルル6世（Charles VI）は1368年12月3日にパリで生まれ、ヴァロワ朝の王として1380年から1422年まで在位しました。彼は父親のシャルル5世と母親のジャンヌ・ド・ブルボンの間に生まれ、兄弟たちが既に亡くなっていたため、王位継承権を持つことになりました。父シャルル5世の死去に伴い、シャルルは11歳で王位に就き、11月4日にランス大聖堂で戴冠式を迎えました。

2. 摂政の時代

シャルル6世が王位を継いだ当初は、未成年ということもあり彼のおじたちが摂政として政権を握っていました。当時は王が14歳で成人と見なされていましたが、シャルルはその年齢を迎えても摂政統治が続きました。最終的に1388年に彼は親政を開始し、摂政たちの影響から脱却します。この時、父の顧問たちである「マルムゼ」を復権させ、王政を再建しました。彼の治世の初期は「親愛王」として国民からの支持を集めました。

3. 精神的疾患の発症

しかし、シャルル6世は20代半ばで精神疾患、特にガラス妄想という症状を発症します。1392年、彼が突如狂気に駆られる事件が発生し、これ以降国王としての評判は失われていきました。精神的な問題は母親血筋から来ているとも言われています。この発症後、王としては「親愛王」から「狂気王」とも称されるようになりました。彼は度々精神的な発作を起こし、自身を聖人や他者と混同することもありました。

4. 燃える人の舞踏会

1393年、シャルル6世は王妃イザボーのための仮装舞踏会で「森の野蛮人」に仮装しましたが、舞踏会の最中に火災が発生し、数名が死亡するという悲劇も経験しました。この事件は彼の精神状態に影を落とすことになります。

5. 政治的混乱と派閥争い

王としての権威が揺らぐ中、シャルル6世の治世ではブルゴーニュ派とアルマニャック派が対立し、政権を巡る争奪戦が繰り広げられました。彼自身が精神的に不安定なため、王妃イザボーやその派閥が実権を握るケースも多く、1407年にはオルレアン公が暗殺される事態にまで発展しました。この背景にはイングランド王ヘンリー5世の介入があり、彼はアルマニャック派と接触しつつブルゴーニュ派とも同盟を結びました。

6. ヘンリー5世との関係とトロワ条約

1419年、ブルゴーニュ公の暗殺や内戦による混乱の中、ヘンリー5世がフランス王位を継承するために締結されたトロワ条約が大きな影響を及ぼしました。この条約により、シャルル6世の娘カトリーヌとヘンリー5世との結婚が決まり、同時にシャルル6世の死後、ヘンリー5世がフランス王位を継承することが定められました。また、ヘンリー5世が現実に王位を継承することなく他界するのと同年、シャルル6世も1422年にこの世を去りました。

7. 子女と後世への影響

シャルル6世は妻イザボーとの間に12人の子女をもうけ、その中には後のフランス王となるシャルル7世も含まれています。シャルル6世の精神的苦境の中で、彼の治世は長い42年にもかかわらず多くが他者の意向や権力闘争に翻弄されました。時代の苦闘はその後のフランスの歴史に大きな影響を及ぼしました。彼の治世がもたらした分裂や混乱は、フランス王国の未来を模索する基盤となり、次世代にその影響を残しました。

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