シュラバッ!

シュラバッ!−女の秘密と遺産バトル−

『シュラバッ!−女の秘密と遺産バトル−』は、2008年10月4日の午後2時から1時間24分にわたり、TBS系列にて放送されたテレビドラマの単発スペシャル番組です。この作品は、その年の平成20年度文化庁芸術祭参加作品として選出されました。

概要

物語の始まりは、主人公・松本花枝が夫である松本雄太を突然の交通事故で失う悲劇から幕を開けます。雄太は、妻である花枝と共に園芸会社「有香園」を長年にわたり二人三脚で発展させてきた立志伝中の人物でした。夫の死後、深い悲しみの中にいた花枝のもとに、故人である雄太と何らかの関係があったらしい、全く知らなかった4人の女性たちが次々と姿を現します。彼女たちの登場によって、花枝の平穏な日常は波乱含みの様相を呈し始めます。

夫を偲ぶために開かれたはずの追悼の集いは、予期せぬ展開を迎えます。集まったのは、花枝、そして現れた4人の女性たちに加え、会社の顧問弁護士や家政婦など、様々な立場の人々。追悼の雰囲気から一転、それぞれの思惑や隠された秘密が露呈するにつれ、故人の遺産を巡る激しい争奪戦へと発展していくのです。まさにタイトルの示す通り、その場は壮絶な「修羅場」と化してしまいます。夫の知られざる過去や、女性たちの間に存在する複雑な関係性が明らかになり、遺産を巡る駆け引きや本音が剥き出しになる様が、緊迫感とユーモアを交えて描かれます。

このドラマの大きな特徴として、冒頭のわずかなシーンを除いて、作品のほぼ全編がスタジオ内に設営された単一のセット内のみで撮影されている点が挙げられます。これは、本作が「修羅場」という特定の状況設定を徹底的に追求したシチュエーション・コメディとして制作されたためです。登場人物たちの間の対話や、限られた空間での人間関係の機微、そして予測不能な展開の連続によって物語が推進されていきます。制約された空間であるからこそ生まれる、登場人物たちの濃密なやり取りが見どころの一つとなっています。

キャスト

物語を彩る個性豊かな登場人物たちは以下の通りです。

松本花枝（雄太の妻）: 野際陽子
夫の遺産と尊厳を守ろうとする、毅然とした主人公。
松本伊都子（雄太の義理の父親の連れ子）: 松田美由紀
雄太とは血縁はないが、家族としてのつながりを持つ女性。
松本カンナ（伊都子の娘）: 安達祐実
伊都子の娘として、遺産問題に関わることになる。
内田ちよみ（「有香園」の取引先社員）: 紺野まひる
会社の関係者として、遺産争いに巻き込まれる立場。
今川初（雄太の幼馴染）: 阿知波悟美
雄太の過去を知る人物として登場する。
松本雄太（園芸会社「有香園」社長）: 梅沢富美男
物語の発端となる、交通事故で亡くなる人物。
江戸川勉（有香園の顧問弁護士）: 伊沢勉
遺産問題を取り仕切る弁護士。物語の鍵を握る。
奥田幸二（江戸川の部下）: 井田國彦
弁護士の補佐として登場。
沢田美紀（雄太の秘書）: 川畑麻衣
故人の仕事上の側近として、遺産に関わる情報を持ちうる。
豊島悦香（松本宅の家政婦）: 烏丸せつこ
松本家の内情を知る人物として登場。

スタッフ

本作の制作を支えたスタッフは以下の通りです。

脚本: イケタニマサオ
原案: 伊沢勉（キャストとしても出演）
プロデューサー・演出: 小森耕太郎（中部日本放送）
音楽: 七瀬光
技術協力: バスク
美術協力: KHKアート
照明協力: ティ・エル・シー
スタジオ: 東京メディアシティTMC-A1
制作協力: GeneralEntertainment Team、国際放映
製作著作: 中部日本放送（CBC）

『シュラバッ!−女の秘密と遺産バトル−』は、限定された空間と状況の中で人間の本音や欲望が赤裸々に、そして時にコミカルに描かれた異色のドラマとして、文化庁芸術祭参加作品となるなど、注目を集めた作品と言えるでしょう。

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