シヴ・セーナー

シヴ・セーナー：インドを揺るがす強硬右派政党

シヴ・セーナーは、インド西部、特にマハーラーシュトラ州を主な支持基盤とする強硬右派政党です。ムンバイ市政を掌握するなど、インド政治に大きな影響力を持つ一方、その排外主義的な姿勢から、国内外で物議を醸しています。本稿では、シヴ・セーナーの歴史、イデオロギー、そして現在に至るまでの軌跡を詳細に解説します。

強大な影響力と問題発言：シヴ・セーナーの二面性

1966年、バール・タークレーによって創設されたシヴ・セーナー。「シヴァージーの軍隊」を意味する党名は、マラーター王国の英雄シヴァージーへの強い憧憬を示しています。当初から、ムンバイの移民排斥を訴え、共産党勢力の排除を掲げることで、失業者や財界からの支持を集めました。芸能界への強い影響力も持ち、ムンバイの政治経済に深く関与しています。

しかし、シヴ・セーナーは、その強大な影響力とは裏腹に、南インドからの移民への攻撃や、イスラム教徒への排斥といった問題発言を繰り返してきました。マラーティー語を話す地元住民を優先する「マラーティー至上主義」は、人種差別的とも批判されています。近年では、インド人民党(BJP)と連携しながら、ヒンドゥー至上主義的な政策を推進していることから、極右政党として認識されている側面もあります。

歴史と主要人物：創設から現在まで

シヴ・セーナーの歴史は、創設者バール・タークレーの強烈なカリスマ性と、マハーラーシュトラ州の複雑な社会情勢と深く関わっています。タークレーは、漫画雑誌『Marmik』を通じて、移民排斥の主張を積極的に展開。ムンバイの労働運動に影響力を持っていたインド共産党への反発も、シヴ・セーナーの台頭を後押ししました。

2008年のムンバイ同時多発テロを受け、シヴ・セーナーは、国民民主同盟の一員として2009年の総選挙で11議席を獲得。このテロ事件は、シヴ・セーナーの強硬姿勢を改めて世間に印象付けることとなりました。

2012年、バール・タークレーの死去後、後継者となったのは息子のウダフ・タークレーです。ウダフ・タークレーは、父とは異なる穏健路線を模索しているとの見方もありますが、党の基本的なイデオロギーは変わっておらず、依然としてインド政治において大きな影響力を持っています。また、2006年にはバール・タークレーの甥、ラージ・タークレーが、より強硬な姿勢を示すマハラシュトラ・ナヴニルマン・セーナーを結成するなど、党内の派閥争いも複雑な様相を呈しています。

シヴ・セーナーの未来：インド社会への影響

シヴ・セーナーは、インド社会の多様性と複雑さを象徴する政党の一つです。強力な地域基盤と、マラーティー人のアイデンティティを重視する姿勢は、多くの支持者を集めていますが、同時に、排外主義や人種差別的な傾向は、国内外からの批判を招いています。

今後、シヴ・セーナーがどのような役割を果たすのか、インドの政治、社会、そして国際関係にどのような影響を与えるのか、注目が集まっています。その動向は、インドの未来を占う上で重要な要素の一つとなるでしょう。

まとめ

シヴ・セーナーは、インドにおける強硬右派勢力の代表的な存在であり、その影響力はムンバイ市政のみならず、インド全土に及んでいます。しかし、その排外主義的な姿勢や人種差別的な発言は、多くの批判を招き続けています。その歴史、イデオロギー、そしてインド社会への影響を理解することは、インドの政治状況を把握する上で不可欠です。今後の動向から目が離せません。

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