シーボード・エア・ライン鉄道

シーボード・エア・ライン鉄道の歴史

シーボード・エア・ライン鉄道（Seaboard Air Line Railroad、略称SAL）は、1900年から1967年まで存在したアメリカの鉄道システムです。この鉄道は、特にアメリカ南東部、特にフロリダの発展に大きく寄与しました。シーボード・エア・ラインは、「The Route of Courteous Service」というモットーを掲げ、多くの旅行者に利用されました。

設立から合併まで

SALは1832年にポーツマスからロアノーク川沿いのウェルドン港までの鉄道建設の許可が出されたことからスタートしました。1834年に蒸気機関車による運行を開始した後、鉄道の発展は目覚ましく、1846年にシーボード・アンド・ロアノーク鉄道に再編されました。その後、1881年にはシーボード・エア・ライン・システムを形成し、会社名をシーボード・エア・ライン鉄道に改名しました。

20世紀に入ると、SALはアトランタやフロリダへと路線を拡大し、ニューヨーク〜タンパ間の高速化を図ります。1917年には第一次世界大戦の影響で国有化され、1920年までその状態が続きました。戦後はフロリダへの旅行者急増を受け、SALの経営は好調となりますが、1930年代には再び破産します。1946年に再建されたのち、旅客数を増やすためのマーケティングやサービス向上を進め、1939年にはニューヨークとマイアミを結ぶ流線形の列車「シルバー・メティオ」を運行するに至ります。

路線網とサービス

SALの主な幹線は、リッチモンドからローリー、コロンビア、サバンナを経てジャクソンビルへ至るもので、これが南部フロリダへのアクセス網も広げました。特にジャクソンビルは乗り換え地点として重要な役割を果たしました。様々な地域への接続がある中で、ノースカロライナ州ハムレットやアトランタ、バーミングハムといった都市への路線も展開されていました。

また、SALは顧客サービスの向上にも努め、1933年にはプルマン型寝台車にエアコンを、1936年にはリクライニングシートを装備した座席車を導入しました。フロリダへの旅行が人気を博し、特に冬季には多くの人々が利用しました。

アトランティック・コースト・ラインとの合併

1967年、SALはアトランティック・コースト・ライン鉄道（ACL）と合併し、シーボード・コースト・ライン鉄道（SCL）が発足しました。これによりSALは約1万マイルにも及ぶ広大な路線網を持つこととなり、従業員数も約2万3千人に達しました。以降は旅客列車の運行が新しく設立されたアムトラックに移行し、ついに1971年には全ての列車運行がアムトラックへと引き継がれました。

影響と遺産

SALはアメリカ南東部の経済発展に寄与し、多くの旅客で賑わった鉄道でしたが、1950年代からの航空輸送の発展や高速道路の普及によってその収益は減少していきます。その結果、他の鉄道と同様に財政的な困難に直面しました。それでもSALの歴史に残る列車たちやサービスは、今なお鉄道史に名を刻んでいます。最終的に、現在のCSXトランスポーテーションの一部としてその名は受け継がれています。

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