ジェイムズ・コットン

ジェイムズ・コットン：ブルース界の巨人

ジェイムズ・コットン（1935年7月1日 - 2017年3月16日）は、アメリカを代表するブルース・ハーモニカ奏者であり、歌手でした。ミシシッピ州チュニカで生まれ、幼少期にラジオで聴いたサニー・ボーイ・ウィリアムソンの音楽に感銘を受け、9歳の時にはウィリアムソンに師事するほどブルースにのめり込みました。その後、メンフィスに移り住み、ウィリー・ニックスやジョー・ウィリー・ウィルキンズらと共演を重ね、ブルース・ミュージシャンとしてのキャリアを本格的にスタートさせます。

1953年には、サム・フィリップスの目に留まり、サン・レコードでレコーディングを行い、シングル2枚をリリースしました。1955年にはシカゴに移り住み、1957年にはブルース界のレジェンド、マディ・ウォーターズのバンドに正式参加。リトル・ウォルターの後任として、バンドの中核を担いました。マディ・ウォーターズ在籍中の1965年には、自身もバンドを結成し、サミュエル・チャーターズのプロデュースによるアルバム『Chicago/The Blues/Today!』に参加するなど精力的な活動を行いました。

1966年にマディ・ウォーターズのバンドを脱退した後も、ソロ・アーティストとして活動を続け、1967年には初のフルアルバム『Cut You Loose!』をリリースしました。しかし、彼のアーティストとしての地位を不動のものとしたのは、1974年にリリースしたアルバム『100％Cotton』です。このアルバムでは、マット・マーフィー、ケニー・ジョンソン、チャールズ・キャルミーズ、リトル・ボーといった実力派ミュージシャンを擁する「ジェイムズ・コットン・バンド」として、既存のブルースの枠にとらわれない、ファンキーで革新的なサウンドを確立しました。

続く『High Energy』（1975年）では、ニューオーリンズでアラン・トゥーサン、ジェイムズ・ブッカー、ワーデル・カゼアらと共演し、さらに『Live & on the Move』（1976年）ではライブ・バンドとしての圧倒的なエネルギーを見せつけました。ブッダ・レコード時代は、ブルースの枠にとらわれず、新しい音楽性を追求した重要な時期となりました。1970年代後半には、マディ・ウォーターズのアルバムに参加するなど、ベテラン・ミュージシャンとしての地位を盤石なものにしました。

1980年代には、アリゲーター・レコードと契約し、グラミー賞にノミネートされたライブアルバム『Live from Chicago』など、数々の作品を発表しました。1990年には、ジュニア・ウェルズ、ビリー・ブランチ、キャリー・ベルらと共演した『Harp Attack』に参加。ブルース・ハーモニカ奏者としての地位をさらに高めました。1990年代半ばに喉頭ガンを患い、歌えなくなるという困難に見舞われましたが、元アンソン・ファンダーバーグ＆ザ・ロケッツのダリル・ニューリッシュをヴォーカリストに迎えて活動を継続し、1996年にはアルバム『Deep in the Blues』で、グラミー賞（最優秀トラディショナル・ブルース・アルバム賞）を受賞しました。

2017年3月16日、テキサス州オースティンにて肺炎のため死去。彼の死はブルース界に大きな衝撃を与えましたが、彼の奏でたブルースは、これからも多くの人々の心に響き続けることでしょう。彼の音楽的功績は、ブルースの歴史に永遠に刻まれるものとなるでしょう。数々のアルバムをリリースし、ブルース界に多大な貢献をしたジェイムズ・コットン。その音楽は、時代を超えて多くの人々に愛され続けています。

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