ジェイムズ・スティードマン

ジェイムズ・ブレア・スティードマン（James Blair Steedman, 1817年7月29日 - 1883年10月18日）は、アメリカ合衆国の軍人、出版者、そして政治家として多岐にわたる分野で活躍しました。特に、南北戦争においては北軍の将軍としてその名を馳せ、チカマウガの戦いやナッシュビルの戦いでの功績は特筆に値します。

生い立ちと初期の経歴

1817年夏、ペンシルベニア州ノーサンバーランド郡で5人兄弟の次男として誕生したスティードマンは、幼少期に十分な教育を受ける機会に恵まれませんでした。15歳で両親を亡くし、ペンシルベニア州ルイスバーグの新聞社で植字工として働き、兄弟を養いました。その後、ケンタッキー州ルイビルに移り、同じく新聞社で職を得ます。1835年にはテキサス共和国に参加し、テキサス革命で戦いました。

故郷に戻ったスティードマンは、公共事業の監督官として働いた後、オハイオ州に移住。当初は契約を得られなかったものの、新聞業に戻る決意をし、1838年に「ノースウェスト・デモクラット」紙を創刊しました。この時期にミランダ・スライズと結婚し、公共事業の契約も得られるようになり、運河や鉄道の建設にも関与しました。

1847年には政治家としてのキャリアをスタートさせ、オハイオ州議会議員を2期務めました。その後、鉄道の車掌を経てカリフォルニア州で金鉱を探査。1850年にオハイオ州に戻り、州公共事業局で要職を歴任しました。また、弁護士としても開業し、新聞編集者や州兵の将軍としても活躍しました。1860年には民主党全国大会の代議員としてスティーブン・ダグラスを支持しましたが、連邦下院議員選挙には落選しました。

南北戦争での活躍

南北戦争が勃発すると、スティードマンは北軍に志願し、第14オハイオ歩兵連隊を組織し、大佐に任命されました。この連隊は当初90日間の徴兵でしたが、スティードマンは再編し、3年間の任務に就かせました。彼はバージニア州での戦闘に参加した後、西部戦線に転戦し、ミル・スプリングスの戦いやコリンスの包囲戦で勝利に貢献しました。

1862年7月には准将に昇進し、オハイオ軍の旅団長に任命されました。ペリービルの戦いでは、師団の危機を救う重要な役割を果たし、その功績は高く評価されました。ストーンズリバーの戦いにも参加し、カンバーランド軍の一員として戦いました。

チカマウガの戦いでの英雄的行動

1863年秋、チカマウガの戦いにおいて、スティードマンは予備軍団の前衛隊を指揮し、ジョージ・ヘンリー・トーマス少将の部隊を支援しました。ローズクランズ軍が敗走する中、スティードマンは独自の判断で部隊を率い、トーマス隊の右翼を包囲しようとする南軍の動きを阻止しました。この功績は、「チカマウガの戦いで最も際立った個人的勇気の証」と評され、北軍の壊滅的な敗北を防ぐ上で決定的な役割を果たしました。

チャタヌーガの包囲戦や第三次チャタヌーガの戦いにも参戦し、1864年5月まで同地で全軍を指揮しました。アトランタ方面作戦にも参加し、カンバーランド軍のエトワー地区軍の指揮官も務めました。

ナッシュビルの戦いでの戦略的貢献

1864年12月、ナッシュビルの戦いでは、スティードマンは「暫定」師団を指揮し、北軍の左翼を担当しました。彼は部隊を急遽編成し、2日間かけてチャタヌーガから到着しました。ナッシュビルに参戦した6人の主要指揮官の中で、唯一ウェストポイント出身ではない人物でした。

トーマス少将の命令を受け、スティードマンは陽動攻撃を行い、南軍の右翼を一日中拘束しました。12月16日には、南軍の右翼への攻撃を再開し、トーマス軍の勝利に貢献しました。この戦闘で、スティードマン隊は大きな損失を被りましたが、その功績は称えられました。

ナッシュビルの戦いの後、スティードマンはエトワーに戻り、その後、ジョージア方面軍の指揮官を務めました。南北戦争終結後も軍に留まりましたが、1866年に除隊しました。

戦後の活動

除隊後、スティードマンはオハイオ州に戻り、内国税収入の集金人や新聞編集者として働きました。1870年にはオハイオ州上院議員に選出され、1883年にはトレドの警察署長に任命されました。彼は同地で亡くなり、ウッドローン墓地に埋葬されました。

スティードマンは、軍人としてだけでなく、政治家、出版者としても多才な人物であり、その波乱に満ちた生涯は、アメリカ史において重要な一ページを刻んでいます。

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