ジェームズ・マリタート

ジェームズ・マリタート：技巧派レスラーの多彩なキャリア

ジェームズ・マリタート（James Maritato、1972年3月12日生まれ）は、アメリカ合衆国ニューヨーク州クイーンズ出身のイタリア系アメリカ人のプロレスラーです。

リングネームは複数あり、ナンジオ（Nunzio）、リトル・グイドー（Little Guido）、ジェームズ・ストーン（James Stone）など、様々な名で活躍しました。身長は決して高くありませんが、ヘビー級選手とも渡り合うことがあり、その高いレスリング技術と巧みな戦術で観客を魅了しました。時には、ロイヤルランブルでリングアウト負けを免れるため、ずる賢くリングの外に長く留まるなど、知略を駆使した戦いぶりも見せています。

プロレスラーとしての歩み

高校時代はレスリングとアメリカンフットボールに打ち込み、卒業後はビル・ロビンソンの指導の下でトレーニングを開始。1991年にプロレスラーとしてデビューしました。

ロビンソンとの繋がりから、1995年まで日本のUWFインターナショナルにジェームズ・ストーンとして参戦。桜庭和志らと対戦するなど、国際的な舞台でも経験を積みました。

帰国後は、ECWでリトル・グイドーとして活躍。イタリア系アメリカ人であることを活かし、イタリア出身のレスラーというギミックで人気を博しました。同郷のレスラーたちと「フル・ブラッデッド・イタリアンズ（FBI）」というユニットを結成し、多くの試合で観客を沸かせました。

ECW崩壊後の2001年にはWWF（現WWE）へ移籍。2002年にはジェイミー・ノーブルの従兄弟という設定でナンジオとして登場しました。当初、ノーブルは従兄弟を「巨漢で危険な男」と紹介していましたが、実際は小柄なマリタートでした。

ノーブルとのタッグを解消後は、スマックダウンでチャック・パルンボ、ジョニー・スタンボリと共にFBIを再結成。2004年にパルンボがロウに移籍、スタンボリが解雇されるまで、チームとして活動しました。

その後はクルーザー級戦線でシングルプレイヤーとして活躍。2005年8月9日にはポール・ロンドンからWWEクルーザー級王座を奪取するという快挙を成し遂げました。この勝利にはヴィトーのアシストがあり、2人はイタリア系タッグチーム（FBIとは名乗っていませんでしたが、事実上のFBI再結成と見なされています）を結成。メキシクールズと激しい抗争を繰り広げました。

10月にメキシクールズのフベントゥに王座を奪われましたが、11月15日、イタリアでのハウスショーで王座を奪還。地元イタリアでの戴冠に、会場は大きな歓声に包まれました。しかし、その1週間後、イギリスでフベントゥに敗れ、王座から陥落しました。

WWEの第3ブランドとしてECWが復活すると、マリタートはリトル・グイドーとして参戦。トニー・ママルーク、ビッグ・グイドーと共にFBIを再び結成しました。その後、ナンジオとして活動していましたが、2008年8月にWWEを解雇されました。

WWE解雇後はインディー団体を転戦し、2010年にはTNAに登場。2011年にはWWEとレフェリーとして再契約しましたが、レスラーとしての活動を望み退団しました。

以降はインディー団体を中心に活動し、トニー・ブロードウェイ（Tony Broadway）というリングネームも使用。2013年には、ECWをオマージュしたカナダのHRT（ハードコア・ロードトリップ）に登場し、ビッグ・ヴィトーとタッグを組み、FBIとしてピットボールズと対戦しました。

得意技

マリタートは、数々の得意技を持っていました。中でも有名なのは、

シシリアン・スライス: 俯いた相手の首へのレッグドロップ。旧ECW時代から使用していました。
シシリアン・ドロップ/キス・オブ・デス: 旧ECW時代によく使用していた決め技。クリスチャンのアンプリティアーと似ていますが、フィニッシュが異なります。
* アリーベデルチ: コーナーの上にいる状態から相手の腕を捕らえ、スイングDDTのようにマットに叩きつける技。イタリア語で「さようなら」を意味します。

が挙げられます。

獲得タイトル

マリタートは、WWEクルーザー級王座を2度、ECW世界タッグ王座を2度（トレイシー・スマザーズ、トニー・ママルークと）、その他複数の団体でタイトルを獲得しています。

まとめ

ジェームズ・マリタートは、その華麗なテクニックと巧みな戦略、そして時に見せるずる賢さ、そしてイタリアンとしてのアイデンティティを武器に、プロレス界で長く活躍したレスラーです。様々なリングネーム、ユニット、そして団体を渡り歩きながらも、その実力は常に高く評価され続けてきました。彼のプロレス人生は、まさにドラマチックで、多くのファンを魅了し続けています。

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