ジパング (鉄道車両)

ジパング（鉄道車両）

ジパングは、東日本旅客鉄道（JR東日本）が2012年（平成24年）から2021年（令和3年）にかけて運用した鉄道車両で、旅行やイベントに合わせて運転される「ジョイフルトレイン」と呼ばれる特別な車両の一つです。485系電車をベースに改造され、東北地方の歴史や自然を表現した独特なデザインが特徴でした。この項目では、車両の詳細と、この車両が充当された主な臨時列車群について解説します。

概要とデザインコンセプト

この車両は「東北地区の歴史と自然」、そして2011年に世界遺産に登録された「平泉」への期待感をデザインコンセプトとして誕生しました。2012年4月から6月にかけて開催された「いわてデスティネーションキャンペーン」に合わせて、同年4月1日に営業運転を開始。以後約9年半にわたり活躍しましたが、2021年10月10日に団体専用列車として最後の運行を行い、その歴史に幕を下ろしました。運用終了後、車両は全て解体されています。

外観デザインは「落ち着きと重厚感の中に秘められたさりげない輝き」を表現しています。墨色で水の流れを、ねずみ色で山々をイメージし、さらに平泉の繁栄を象徴する砂金や金箔の輝きを金色で表現しました。特に先頭部分には、華やかさと雄大な自然をイメージした金と緑の配色で、特徴的な「ジパング」のロゴマークが描かれていました。

車両の改造

種車には、かつて高崎車両センターに所属していたお座敷列車「やまなみ」の先頭車（クロ485-4、クロ484-6）と、青森車両センター所属のモハ485形・モハ484形3000番台（モハ485-3014、モハ484-3014）が使用されました。これらは2012年に郡山総合車両センターで改造工事を受け、4両編成（1号車から4号車：クロ485-701、モハ485-3014、モハ484-3014、クロ484-701）となりました。改造に伴い、先頭車は形式・番号が変更されています。

内装は大幅に手が加えられています。

先頭車（1号車・4号車）
乗務員室のすぐ後ろには、前方を向いたベンチシートの展望席が設けられました。
かつてお座敷構造だった室内は、側面方向を向いた2人掛けのペアシートが並ぶ普通車仕様に改められました。
デッキ部にあったトイレは撤去されました。
デッキ付近は、平泉観光への期待感を高める「現代と平安時代を映像と光で演出する幻想的な非日常空間」をコンセプトとしたフリースペースとして整備され、行灯風の照明や漆塗り風の化粧板で特別な雰囲気を演出していました。

中間車（2号車・3号車）
側面方向幕は撤去され、サボ受けが新設されました。
座席モケットが交換されるなどの改造が施されました。
3号車には車椅子対応座席が設置され、車椅子対応の洋式トイレや男性用小トイレ、洗面台を備えたトイレ設備も設置されました。

技術面では、先頭車は視認性向上のため前面上部に前照灯が増設されたほか、保安装置としてATS-Ps、床下には電動発電機（MG）や空気圧縮機が搭載されました。また、先頭車はドーム状の屋根に集約分散式の冷房装置を搭載していましたが、中間車は分散式や集中式と、種車の違いから冷房装置の形式や搭載方法が異なっていました。

主な運用実績

「ジパング」は様々な臨時列車に使用されました。

いわてデスティネーションキャンペーン期間中
盛岡〜一ノ関間を結ぶ「平泉世界遺産号」（1・4号車指定席、2・3号車自由席）。
一ノ関〜水沢間の「世界遺産リレー号」（全車自由席）。
一ノ関〜北上間の「展勝地さくら号」（全車自由席）。

いわてDC終了後
主に土休日を中心に、盛岡〜一ノ関間を1日2往復する「ジパング平泉」が中心的な運用となりました（1・4号車指定席、2・3号車自由席）。この列車は2021年9月26日に運行を終了しました。
毎年4月上旬の週末には、仙台支社への貸し出しにより仙台〜郡山間を走る「ジパング花めぐり号」としても運転されました（全車指定席）。これは2020年が最後の運行となりました。
* 年末の忘年会シーズンには、盛岡発一ノ関行きの片道列車「ジパング忘年ライナー」が設定されました（1号車指定席）。これも2019年が最後の運行となりました。

この他にも、東北地方各地での団体臨時列車や、盛岡支社管内での臨時列車として多様な実績を持ちました。しかし、2021年の運用終了をもって全ての車両が解体され、現在はその姿を見ることはできません。

は見ることはできません。

（※文字数調整のため、末尾を若干調整しました。）

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