ジブカイン

ジブカイン（Dibucaine）

ジブカインは、アミド型の局所麻酔薬として広く使用されている化合物です。国際的にはシンコカインとして知られ、アメリカや日本ではジブカインという名称で親しまれています。この薬剤は、高度な局所麻酔効果を持ち、特に脊髄くも膜下麻酔において重要な役割を果たします。

概要と用途

ジブカインは、アミド結合を含む分子構造を持ち、これが他のアミド型局所麻酔薬とは異なる特徴を示しています。具体的には、リドカインやブピバカインとは異なる配置でアミド結合を有し、作用時間が比較的長いのが特徴です。一般的に、ジブカインを0.5%濃度で投与した場合、平均的な作用時間は3時間から4時間程度とされています。

局所麻酔としての用途は多岐にわたり、特に脊髄くも膜下麻酔として使用されます。その投与量は体重1kg当たり0.7mgが上限とされていますが、重篤な毒性を考慮し、使用は注意が必要です。意図しない副作用を避けるため、近年ではより安全性の高い麻酔薬が主流となりつつあり、市場ではテトラカインやブピバカインにその座を譲りつつあります。

適応と製剤形式

2023年の現在、ジブカインを含む製剤であるネオビタカインは、症候性神経痛、筋肉痛、腰痛症、肩関節周囲炎などに対する浸潤麻酔、神経ブロック、トリガーポイント注射に使用されています。この薬剤は、塩酸と反応させた塩の形で製剤化され、注射用として使われます。

また、ジブカインは痔の治療用薬「プロクトセディル」など、他の医薬品にも配合されています。プロクトセディルには塩酸ジブカインが含まれており、鎮痛効果が期待されています。

獣医学での用途

獣医学の分野においても、ジブカインは用いられることがあります。高い毒性を持つため、ウマやウシの安楽死施行に利用されることがあり、この側面も注意が必要です。

構造と生理活性の関連

ジブカインは、化学構造的にプロカインアミドと類似性があります。プロカインはエステル骨格を持つ局所麻酔薬であり、抗不整脈薬としても使用されることがあります。これに対して、ジブカインは特異なアミド結合を持つため、異なる薬理作用を示すのです。

ジブカインナンバー

血清中の偽コリンエステラーゼ活性を測定するための古典的な手法として「ジブカインナンバー」が知られています。このテストは、ジブカインを用いて偽コリンエステラーゼの異型酵素を特定するものです。特に、異型酵素を持つ患者においては、脱分極性筋弛緩薬サクシニルコリンの効果が異常に延長することが知られています。しかし近年では、サクシニルコリンの使用が減少したため、この検査法の実用性も減少しています。

結論

ジブカインは現在も医療現場で重要な役割を果たしているアミド型局所麻酔薬ですが、コードやタイプの選択に際しては最新の研究や製品の安全性を考慮しながら判断することが不可欠です。

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