ジム・パーマー

ジム・パーマー：オリオールズ黄金期を支えた伝説の右腕

ジェームズ・アルビン・パーマー（James Alvin Palmer）は、1945年10月15日、ニューヨークで生まれました。愛称は「Cakes」。右投右打の投手として、1960年代から1980年代にかけてボルチモア・オリオールズ一筋で活躍し、球団の黄金時代を築き上げました。

若き日の才能開花とワールドチャンピオン

1963年にオリオールズと契約したパーマーは、1965年に19歳という若さでメジャーデビューを果たします。1966年には先発ローテーションに定着し、15勝を挙げてチームのリーグ優勝に貢献。ワールドシリーズでは、現役最後の登板となったサンディ・コーファックスとの投げ合いを制し、完封勝利を飾りました。オリオールズはそのまま4連勝で初のワールドチャンピオンに輝き、パーマーもその立役者の一人となりました。

苦難を乗り越えての復活

1967年以降は肩の故障に苦しみましたが、1969年に見事復活。8月13日のアスレチックス戦では、6四球を与えながらもノーヒットノーランを達成するなど、16勝を挙げる活躍を見せました。チームも地区優勝を果たし、リーグチャンピオンシップシリーズでは完投勝利でリーグ優勝に貢献。ワールドシリーズでは敗戦投手となったものの、その実力は健在でした。

黄金期の中心投手として君臨

1970年代に入ると、パーマーはオリオールズ投手陣の中心として輝きを放ちます。1970年には20勝を挙げ、オールスターにも初選出。その後も、1971年にはチームメイトと共に「20勝カルテット」を形成するなど、圧倒的な強さでチームを地区優勝に導きました。

1973年には最優秀防御率のタイトルを獲得し、サイ・ヤング賞を受賞。1975年、1976年にも最多勝、最優秀防御率、サイ・ヤング賞を相次いで獲得し、球界を代表するエースとしての地位を確立しました。また、1976年から1979年まで4年連続でゴールドグラブ賞を受賞するなど、守備力も高く評価されていました。

晩年と引退、そして殿堂入り

1980年代に入ると故障も増えましたが、1983年にはワールドシリーズで勝利投手となり、3つのディケイドでワールドシリーズ勝利を挙げた史上唯一の投手となりました。1984年に現役引退を表明。長年の功績を称えられ、背番号『22』はオリオールズの永久欠番となりました。1990年にはアメリカ野球殿堂入りを果たし、その輝かしいキャリアを讃えられました。

引退後

引退後は、解説者として活躍する傍ら、1991年には45歳にして現役復帰を目指しましたが、実現には至りませんでした。しかし、その野球に対する情熱は衰えることなく、現在もMLB中継の解説などを通じて、野球界に貢献しています。

人物像

愛称の「Cakes」は、登板日の朝食に必ずパンケーキを食べていたことに由来します。また、監督のアール・ウィーバーとの確執は有名で、ウィーバーに「パーマーのおかげでこんな白髪になってしまった」と言わしめるほどでした。カル・リプケン・ジュニアとは、リプケンの父が監督を務めていたマイナーチームでプレーしていた頃からの親交があり、高校生時代のリプケンにパーマーが投球練習を行ったこともあるそうです。ハンサムな顔立ちから、下着メーカーのコマーシャルに出演していたこともありました。

ジム・パーマーは、その卓越した投球術と華やかな人柄で、多くのファンを魅了しました。オリオールズの黄金期を支えた彼の功績は、永遠に語り継がれることでしょう。

もう一度検索