ジャクソン (楽器メーカー)

Jackson Guitars：革新と伝統が奏でるロックの魂

Jackson Guitarsは、アメリカを代表するエレクトリックギターメーカーです。創業者であるグローバー・ジャクソンによって確立されたブランドは、フェンダーの演奏性とギブソンのサウンドを融合させ、独自の鋭いデザインと革新的な機能で、特にハードロック／ヘヴィメタルシーンにおいて絶大な人気を誇ります。ジャズフュージョン分野でも高い評価を得ており、時代を超えてギタリストたちを魅了し続けています。

歴史：LAメタル隆盛期からの飛躍

Jacksonブランドの起源は、グローバー・ジャクソンがシャーベル社のクラフトマンとして活躍していた時代まで遡ります。ランディ・ローズのアイデアを基に製作されたカスタムギターは、従来のギターとは全く異なる斬新なデザインと高い演奏性で注目を集め、独自のブランド「Jackson」として誕生しました。1980年代のLAメタルブームを背景に、Jacksonギターは瞬く間に人気を博し、世界的なトップブランドへと成長を遂げます。

ジェフ・ベック、ロビン・クロスビー、デイヴ・ムステイン、マーティー・フリードマンといった名だたるギタリストたちがJacksonギターを愛用し、そのサウンドとプレイアビリティの高さが広く認知されました。現在でも、多くのハードロック／ヘヴィメタルギタリストを中心に支持されており、デフ・レパードのフィル・コリンやアイアン・メイデンのエイドリアン・スミスといったベテランミュージシャンも長年にわたり愛用し続けています。

ラット、ラフ・カット、W.A.S.P.といったバンドのギタリストたちが愛用した派手なグラフィックが施されたモデルは、LAメタルを象徴するギターとして広く知られています。その影響は日本にも及び、一部のメーカーが類似デザインのギターを製造販売していました。日本国内においても、高い演奏性とエレガントなネック形状からプロ・アマ問わず多くのギタリストに愛され続けています。独特のコンパウンドラディアスネックは、デッドポイントが少なく、スタジオミュージシャンにも高く評価されています。

シャーベルとの関係：ブランドの連携と独自性

グローバー・ジャクソンは、1978年に経営難に陥っていたシャーベル社を買収しました。当初は、Jacksonがスルーネックやコンコルドヘッドといった先進的なデザインのモデルを、シャーベルがボルトオンネックのストラトキャスター系モデルを主に製造していました。しかし、共和商会が日本での代理店業務を開始し、日本製モデルの生産が始まると、両ブランドの明確な区別は曖昧になっていきました。日本市場では、シャーベルブランドがJacksonの下位ブランドとして扱われた時期もありましたが、両ブランドには本来上下関係はありません。

ウォーレン・デ・マルティーニやアラン・ホールズワースなど、多くのギタリストがシャーベルギターを愛用し、その高い品質と演奏性は広く認められています。

価格帯：高嶺の花から身近な存在へ

1980年代、LAメタルブームによりJacksonギターは爆発的な人気を博しました。しかし、日本市場では高価格帯ということもあり、入手困難なギターでした。アメリカ製ハンドメイドモデルは、1本50万円～60万円以上という高額で、納期も1～2年と非常に長く、一般ユーザーにとっては高嶺の花でした。

近年は、日本製やインドネシア製モデルなど、価格を抑えたモデルが市場に投入され、一般ユーザーにとっても購入しやすくなりました。しかし、アメリカ製カスタムショップモデルは、依然として世界最高峰のクオリティを誇り、プロミュージシャンを中心に高い人気を維持しています。

製品の特徴：革新的なデザインと技術

Jacksonギターの特徴として、コンコルドヘッド、コニカル・フィンガーボード、シャークフィン・インレイ、ディンキーボディ、スカーフジョイントなどが挙げられます。コンコルドヘッドは、多くのメーカーに模倣されるほど、Jacksonのアイコニックなデザインとなりました。コニカル・フィンガーボードは、ヘッドからブリッジにかけてネックが円錐状に削られており、プレイアビリティに優れた独自の設計です。スルーネック構造を採用したモデルも多く、優れたサステインが得られるのもJacksonの特徴です。

初期のJacksonギターは、独自のピックアップやプリアンプを使用するなど、メーカー独自の個性が際立っていました。しかし、近年はアルダー材やセイモア・ダンカン製のピックアップを使用するなど、独自性は薄れつつあります。

主なギター機種

Soloist (SL)：ストラトキャスターを現代的にアレンジしたスーパーストラトモデル。スルーネック構造が特徴。
Dinky (DK)：Soloistと同様の外観だが、ボルトオンネック構造。
Randy Rhoads (RR)：ランディ・ローズ自身がデザインした左右非対称のVシェイプ。
King V (KV)：左右対称のVシェイプ。
Kelly (KE)：ギブソン・エクスプローラーをアレンジしたモデル。

生産完了機種

ケリースター
Y2KV
ファイヤーバード

日本市場：代理店と生産拠点の変遷

日本市場においては、共和商会、中信楽器販売、山野楽器、神田商会と代理店が変遷してきました。日本製モデルは、中信楽器製造により製造されていましたが、2011年に同社の自己破産により製造は停止しました。現在は、インドネシア、メキシコ、インド、中国などで生産されています。Grover Jackson、Jackson Starsといったロゴについても、USA製と日本製が存在したため、混乱がありましたが、現在はJacksonロゴが統一されつつあります。

商標権問題：ロゴの使用と復活

1995年頃、商標権問題により「Jackson」ロゴの使用が日本国内で一時的に制限されました。これは、黒澤楽器店の商標登録と関連しており、共和商会が取り扱いを停止、中信楽器販売がGrover Jackson、Jackson Starsブランドで販売を継続しました。2009年に黒澤楽器店の商標が無効となり、「Jackson」ロゴが日本国内で復活しました。

まとめ

Jackson Guitarsは、革新的なデザインと高い演奏性で、ハードロック／ヘヴィメタルシーンを代表するギターブランドとして確固たる地位を築いています。時代と共に変化を遂げながらも、その高い品質と個性は、多くのギタリストに愛され続けています。

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