ジャズ (クイーンのアルバム)

クイーンのアルバム『ジャズ』の詳細解説

『ジャズ』（英語: Jazz）は、イギリスのロックバンド、クイーンが1978年11月10日に発表した7枚目のスタジオ・アルバムです。イギリスではEMI、アメリカではエレクトラ・レコードからリリースされ、日本では同年11月25日にワーナー・パイオニア／エレクトラから発売されました。

制作背景

前作『世界に捧ぐ』のツアー後、1978年7月にフランスのスーパー・ベア・スタジオでレコーディングを開始。その後、スイスのマウンテン・スタジオに移動して作業が行われました。プロデューサーには、1975年の『オペラ座の夜』以来となるロイ・トーマス・ベイカーが再び参加しましたが、これがベイカーがクイーンのアルバム制作に関わる最後の作品となりました。

アルバムタイトルの『ジャズ』は、「前作のアンセム群を越えるのは困難である」という認識と、「特定の音楽性に偏らず、多彩なアプローチに立ち返ることが次への道となる」という考えから名付けられました。このタイトルには、「パンクやニュー・ウェイヴなどの音楽へのアンチテーゼ」という意味合いも込められています。

リリースとチャート成績

アルバムからの先行シングルとして、1978年10月13日に両A面シングル『バイシクル・レース / ファット・ボトムド・ガールズ』がリリースされ、1979年1月26日には『ドント・ストップ・ミー・ナウ』がリカットシングルとして発売されました。また、地域によっては「ムスターファ」や「ジェラシー」もシングルカットされています。

アルバムは全英アルバムチャートで最高2位、アメリカのBillboard 200では最高6位を記録するなど、世界的にヒットしました。

アルバムジャケット

アルバムのジャケットには、ロジャー・テイラーの提案で、ベルリンの壁に描かれていたものと同じデザインが採用されました。

ツアー

アルバム発売後の1978年10月28日から1979年8月18日にかけて、本作を引っ提げたライブツアーが実施されました。

2011年再発盤

2011年6月22日には、ユニバーサルミュージックからリマスター盤とボーナスEPが付属するリミテッド・エディションが発売されました。日本盤は先行発売され、SHM-CD仕様となっています。

ボーナスEPには、「ファット・ボトムド・ガールズ」のシングルバージョン、「バイシクル・レース」のインストゥルメンタルバージョン、「ドント・ストップ・ミー・ナウ」の別バージョン、「レット・ミー・エンターテイン・ユー」のライブ音源、「ドリーマーズ・ボール」の初期アコースティックバージョンが収録されました。また、オリジナル盤でテープの不具合があった「ファット・ボトムド・ガールズ」の冒頭部分が修正されています。

収録曲と演奏

アルバムには、以下の楽曲が収録されています。特記がない限り、リードボーカルはフレディ・マーキュリーが担当しています。

1. ムスターファ
2. ファット・ボトムド・ガールズ
3. ジェラシー
4. バイシクル・レース
5. レット・ミー・エンターテイン・ユー
6. デッド・オン・タイム
7. イン・オンリー・セブン・デイズ
8. ドリーマーズ・ボール
9. ファン・イット
10. リーヴ・ミー・アローン
11. ドント・ストップ・ミー・ナウ
12. モア・オブ・ザット・ジャズ
13. バイツ・ザ・ダスト

各メンバーの担当楽器は以下の通りです。

フレディ・マーキュリー：リードボーカル、バッキングボーカル、ピアノ
ブライアン・メイ：エレクトリックギター、バッキングボーカル、アコースティックギター、リードボーカル
ロジャー・テイラー：ドラムス、バッキングボーカル、パーカッション、リードボーカル、エレクトリックギター、ベース
ジョン・ディーコン：ベース、エレクトリックギター、アコースティックギター


アルバム『ジャズ』は、クイーンの音楽性の幅広さと、各メンバーの才能が結集した作品として、今もなお多くのファンに愛され続けています。

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