ジャン＝ジョゼフ・ド・モンドンヴィル

ジャン＝ジョゼフ・ド・モンドンヴィル（Jean-Joseph de Mondonville, 1711年洗礼 - 1772年没）は、フランスの才能豊かなヴァイオリニストであり作曲家です。同世代のジャン＝フィリップ・ラモーより若く、その生涯において大きな成功を収めました。当時の音楽家たちの間でもその評価は高く、ルイ＝クロード・ダカンの子ピエール＝ルイ・ダカンからも称賛の声が上がっていたことが伝えられています。

生涯

モンドンヴィルは南西フランスのナルボンヌで、貴族の家に生まれました。しかし、当時の家計はすでに苦しい状況にありました。1733年、彼はパリへと移り住み、当時の有力者であった公妾ポンパドゥール夫人の庇護を得ようと努めました。この時期、彼はコンセール・スピリチュエルのヴァイオリニストを務めるなど、パリの音楽界でいくつかの役職に就くことに成功します。

彼の最初の作品集となるヴァイオリン・ソナタは1733年に出版されました。その後、宮廷礼拝堂や王の寝室（Chambre du Roi）において、ヴァイオリニストとして百回を超える演奏機会を得ました。自らの作曲したグラン・モテも宮廷で演奏され、聴衆から熱狂的な喝采を浴びました。その才能が認められ、1740年と1744年には宮廷礼拝堂の監督官（sous-maître）に任ぜられています。1740年代を通じて、彼はヴァイオリニストとしての活動を続ける一方で、王立音楽アカデミーやコンセール・スピリチュエルのためにオペラやグラン・モテを精力的に作曲しました。また、Théâtre des Petits-Cabinetsとも提携し、その活動範囲を広げました。1755年には、先任者ジョゼフ＝ニコラ＝パンクラス・ロワイエの死去に伴い、コンセール・スピリチュエルの監督職を引き継ぎました。モンドンヴィルは60歳で、パリ近郊のベルヴィルでその生涯を閉じました。

音楽

教会音楽

モンドンヴィルは1734年から1755年にかけて、17曲のグラン・モテを作曲しました。そのうち9曲が現存しています。特にモテ『主に向かって喜び歌おう（Venite exultemus Domino）』は、宮廷礼拝堂音楽監督の職にあった1740年に書かれたものです。管弦楽と声楽の双方に深い理解を持っていた彼は、革命前の王室礼拝堂で最も重要なレパートリーであったグラン・モテに、豊かな音色と革新的な劇的表現をもたらすことに成功しました。

オペラ

彼の初期の舞台作品である『Isbé』は、フランスのバロック・オペラの軽妙な形式であるオペラ＝バレやパストラル・エロイックのスタイルをとっていましたが、残念ながら成功には至りませんでした。しかし、『Le carnaval de Parnasse』、『Titon et l'Aurore』、そして自ら故郷の方言であるラングドシアン語で台本を書いた『Daphnis et Alcimadure』といった作品は、当時の聴衆に特に人気を博しました。中でも『Titon et l'Aurore』は、1750年代にパリで激化したフランス・オペラ派とイタリア・オペラ派のブフォン論争において重要な役割を果たしました。フランス派はこのオペラの初演が大成功だったと主張しましたが、イタリア派は劇場の観客席に多数の兵士を動員した結果に過ぎないと反論するなど、論争の的となりました。

彼はまた、重厚なフランス・オペラ、いわゆる「音楽の悲劇（Tragédie en musique）」にも挑戦しましたが、こちらは成功しませんでした。「フランス・オペラの父」と呼ばれるジャン＝バティスト・リュリが1675年に作曲した同名の傑作『テセウス』の台本を再利用して新たなオペラを創作したのです。彼は大胆にも、当時広く愛され尊敬されていたリュリの楽曲を、自身の音楽に置き換えるという手法をとりました。1765年の宮廷での初演は評価が分かれ、2年後の一般上演では、観客からリュリの元の曲に戻すよう求める声が上がり、結局上演は打ち切られてしまいました。しかし、1770年代にはグルックの『アルミード』のように、リュリの悲劇を新しい音楽で再構成することが流行したことを考えると、モンドンヴィルは時代をやや先取りしていたのかもしれません。

器楽曲

器楽曲においても重要な作品を残しています。最初の出版物であるヴァイオリン・ソナタ集Op.1（1733年）やトリオ・ソナタ集Op.2の他、クラヴサン・ソナタ小品集Op.3（1734年、後に管弦楽化された『管弦楽ソナタ』）があります。Op.4の序文には、弦楽器の「人工ハーモニクス（Les sons harmoniques）」の演奏法に関する初期の記述が含まれています（パリおよびリール、1738年）。また、声またはヴァイオリンを伴うクラヴサン小品集Op.5（1748年）も知られています。

代表作品

器楽曲

ヴァイオリン・ソナタ Op.1（1733年）
トリオ・ソナタ Op.2
クラヴサン・ソナタ小品集 Op.3（1734年）
Op.4（1738年）
声またはヴァイオリンを伴うクラヴサン小品集 Op.5（1748年）

オペラ

Isbé（1742年）
Bacchus et Erigone（1747年）
Le carnaval du Parnasse（1749年）
Vénus et Adonis（1752年）
Titon et l'Aurore（1753年）
Daphnis et Alcimadure（1754年）
Les fêtes de Paphos（1757年）
テセウス（1765年）
Les projets de l'Amour（1771年）

グラン・モテ（現存する9曲）

主は王 Dominus regnavit decorum（詩篇第92）（1734年）
Jubilate Deo（詩篇第99）（1734年）
Magnus Dominus（詩篇第47）（1734年）
Cantate domino（詩篇第149）（1743年）
主に向かって喜び歌おう Venite exultemus Domino（詩篇第94）（1743年）
Nisi Dominus aedficavit（詩篇第126）（1743年）
深き淵より De profundis（詩篇第129）（1748年）
Coeli enarrant gloria（詩篇第18）（1750年）
イスラエルがエジプトを出た時 In exitu Israel（詩篇第113）（1753年）

レコーディング

彼の作品は現代でも録音され、演奏されています。主な録音には以下があります。

『Titon et l'Aurore』 - マルク・ミンコフスキ指揮、ミュジシャン・デュ・ルーヴル（エラート、1992年）
『Les fêtes de Paphos』 - クリストフ・ルセ指揮、レ・タラン・リリク（デッカ/オワゾリール、1997年）
グラン・モテ集 (Dominus regnavit, In exitu Israel, De profundis) - ウィリアム・クリスティ指揮、レザール・フロリサン（エラート、1997年）
グラン・モテ集 (Venite Exultemus, De Profundis) - エドワード・ヒギンボトム指揮、オックスフォード・ニュー・カレッジ合唱団（ヘリオス、1999年）
Six sonates Op. 3 - マルク・ミンコフスキ指揮、ミュジシャン・デュ・ルーヴル（ドイツ・グラモフォン、1998年）
* オペラ『Isbé』よりアリア「Désirs toujours détruits」 - ヴェロニク・ジャンス（ソプラノ）『Tragédiennes』収録（ヴァージン・クラシックス、2006年）

もう一度検索