ジョセフ・ホイッティカー

ジョセフ・ホイッティカー：イギリスの植物学者

ジョセフ・ホイッティカー（Joseph Whittaker、1813年 - 1894年）は、イギリスの植物学者として知られています。彼は、南オーストラリアの植物相研究や、ダービーシャーの植物相研究に大きく貢献しました。

生涯

ホイッティカーは、1813年2月8日にダービーシャー近くのクウォーンドンで洗礼を受けました。父親も同名のジョセフで労働者をしており、サラと結婚しています。ブレッゾールで生まれたという説もあります。

オーストラリアでの植物研究

1838年、ホイッティカーは南オーストラリア植民地総督に任命されたジョージ・ゴーラー中佐のもとで庭師として働き始めました。ダービーシャーから来た7名の従事者と共に、1838年10月12日にアデレードに到着しました。4ヶ月の船旅の間に、テネリフェ島やリオデジャネイロを経由しています。到着時の生活環境は劣悪だったため、造園は後回しにされました。

1839年から1840年にかけて、ホイッティカーは南オーストラリアのアデレード近辺で植物を採集しました。ロフティ山系、ジャゲッド山、トレンズ川、マレー川、ハインドマーシュ川など、各地を旅して植物標本を集めました。彼はバーカー山、エンカウンター湾、フルリオ半島の山地地帯で本格的な調査を初めて行った人物でもあります。

19ヶ月間の滞在後、1840年4月11日にホイッティカーはアデレード港から帰国の途につきました。カンガルー島、モーリシャス、セントヘレナ、アゾレス諸島のコルボ島に寄港し、各地で植物の採集と標本作成を行いました。

ダービーシャーでの植物研究

1840年9月23日にイングランドへ戻ったホイッティカーは、1844年に植物採集を再開しました。1851年から1852年が活動のピークで、1867年頃に活動を終えました。ダービーシャーを中心に、ノッティンガムシャーやウェールズまで足を伸ばして採集を行いました。

1846年までブレッゾールに住み、ブレッゾール・ボーイズ・スクールで教師をしていました。キューガーデン園長のウィリアム・ジャクソン・フッカーと文通し、オーストラリアの植物標本を交換しました。彼が集めた約300種の植物は、最終的にキューガーデンの所有となりました。モウセンゴケ属のドロセラ・ホワイタケリは、彼にちなんで名付けられました。

1847年2月にはロンドン植物学会の会員に選ばれ、1849年から1853年の間、標本を提供しました。その後、植物交換クラブや植物生息地記録クラブにも参加しました。1847年までに『ダービーシャー・ブレッゾール近隣にて発見された希少植物一覧』を出版しました。この本は、当時の植物多様性を知る上で貴重な資料となっています。

1857年、彼はブレッゾールで90人の児童を受け持つ教師をしており、村には自然学者のヘンリー・ハーパー・クルー牧師やフランシス・ダーウィンがいました。1850年代後半には、妻のメアリーと共にダービー近くのモーリィに住み、教師を続けました。彼は1,300種以上の植物を育てていたと記録されています。1864年には、ヘンリー・ハーパー・クルー牧師と共同で、地元で絶滅したアツモリソウ亜科に関する本を出版しました。

1871年までに教師を辞め、「種子商・花屋」となりました。1881年までには「苗木屋・農場経営者」となり、2人の召使と同居しました。植物学の研究仲間だったヘンリー・ハーパー・クルーが引っ越した1863年頃から、ホイッティカーの植物収集作業は衰え始めました。1894年3月2日に没し、モーリーの聖マタイ教会に埋葬されました。

遺産

キューガーデンには、ホイッティカーがオーストラリアや帰国途中の港で持ち帰った植物がコレクションされています。また、ダービー博物館には、彼がダービーシャーで収集した2,200点の押し葉標本が収められています。これらの標本は、ダービーシャーの植物相に関する地域研究にとって重要な証拠となります。彼の標本は、ボルトン、バーミンガム、グロスター、マンチェスターなど、イギリス各地の博物館にもコレクションされています。

1848年、フランスの植物学者ジュール・エミール・プランションは、食虫性のモウセンゴケについて科学的な記述を行いました。これは「香水モウセンゴケ」または「ホイッティカーのモウセンゴケ」として知られています。

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