マレー川

マレー川について

マレー川（River Murray）は、オーストラリアの南東部を流れる最長の河川です。地域の特性として、流域は雨が少ないことが挙げられます。しかし、スノーウィーマウンテンズ計画によって実施された灌漑施策により、この地域は豊かな農業地帯に生まれ変わっています。

流域と流路

この河川はオーストラリアン・アルプスを源流とし、平原を蛇行しながら西へ進みます。また、ニューサウスウェールズ州とビクトリア州の州境の大部分を占めています。南へ向かう前に南オーストラリア州に区域を移し、約500kmの距離を流れた後、アレクサンドリナ湖を経由して南極海に流れ込みます。その河口の近くには、1879年に完成したマレー橋を起源とするマレーブリッジという町が位置しています。

中流域には多くの湿地が広がり、そこには珍しいセキザイユーカリの森などが見られます。中下流域では、ダイサギやチュウサギ、コサギといった多様な水鳥や、オーストラリア固有の魚類が生息しています。さらに、カエルや貝類なども見られ、マレー川は多様な生態系の中心となっています。また、バーマーやニュー・サウス・ウェールズ州中央マレー森林などの地域は、ラムサール条約で保護されています。

河口では、浚渫作業が行われており、河口が沈泥で塞がれないよう注意が払われています。これにより、クーロン国立公園の礁湖へは新鮮な海水が供給されているのです。浚渫作業が行われない場合、河口が塞がり、環境が悪化してしまいます。

歴史

マレー川の歴史は1824年に遡ります。この年、探検家ハミルトン・ヒュームとウィリアム・ホーベルが上流を発見し、1830年にはチャールズ・スタートが下流部を調査、その際、当時のイギリス植民地相の名にちなんで「マレー川」と名付けられました。19世紀の半ばから20世紀初頭にかけて、河川交通が盛んで、外輪式蒸気船が使用されました。これらの船は主に内陸で生産される羊毛を運ぶ役目を果たしていましたが、鉄道の発展に伴い次第に姿を消しました。現在では観光客向けのクルーズ船として利用されています。

1949年には、スノーウィーマウンテンズ計画が始まりました。これは、スノーウィ―川の上流にダムを建設し、その水をトンネルを通じて乾燥地帯であるマレー川流域に送り込むという大規模な土木事業です。この取り組みにより、マレー・ダーリング盆地での農業が可能になり、電力供給も実現しました。スノーウィ―・マウンテンズ水力発電事業局の手によって1972年まで続けられたこのプロジェクトは、地域に大きな影響を与えました。

支流

マレー川には多くの支流があります。下流から次の支流があります：

• - マルヌ川
• - ダーリング川
• - マランビジー川
• - ラクラン川
• - アバークロンビー川
• - モロングロ川
• - サリバンス川
• - ワコール川
• - エドワード川
• - アヴォカ川
• - ゴールバーン川

このように、マレー川はオーストラリアの自然環境と人々の生活に深く根付いている存在なのです。

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