ジョゼフ＝マリー・ロ・デュカ

ジョゼフ＝マリー・ロ・デュカ（Joseph-Marie Lo Duca、本名Giuseppe Maria Lo Duca）は、1910年にイタリアのミラノで生まれ、2004年にフランスのフォンテーヌブローで亡くなった、フランスとイタリアの著述家です。彼は、映画史に名を残す映画雑誌『カイエ・デュ・シネマ』の設立メンバーの一人として、特に知られています。また、ロオ・デュカとも表記されることがあります。

生涯と業績

ロ・デュカは若い頃から読書と執筆に情熱を燃やし、16歳という若さで最初の著作を出版しました。これがきっかけとなり、イタリアの未来派作家たちと交流を深めます。彼の作品はフランス語に翻訳され、マルセル・グリオールによってアンドレ・ブルトンやジャン・コクトーといった著名な作家たちに紹介されました。フランスの作家たちはロ・デュカの才能に魅了され、彼をフランスに招き、フランス語での執筆を勧めたのです。

1935年、25歳でパリに移住したロ・デュカは、歴史に関するエッセイ『フランス対フランス』を出版。ポール・ヴァレリーとの対話やアンドレ・ジッドからの手紙に着想を得たこの作品は、彼の知的な探求心を示しています。また、映画史に関する著作『ある映画史』は、クセジュ文庫に収録され、12カ国語に翻訳されるなど、世界的な評価を得ました。その後、映画技術の参考書となる『映画技術』を執筆し、アニメーションに関する書籍も発表しています。さらに、ウォルト・ディズニーとの出会いも彼の活動に影響を与えました。

1947年には、ロ・デュカの最大の成功作とされる『ナポレオン・ボナパルトの密かな日記』を出版。この作品は、彼の歴史への深い洞察と、文学的な才能を際立たせました。彼はまた、60年間にわたり性科学国際ライブラリーを監修し、J・J・ポヴェール社から出版しました。このライブラリーは、ジョルジュ・バタイユやアンドレ・ブルトンからも高い評価を受けました。さらに、友人である脚本家のモーリス・ベシーとともに、ジョルジュ・メリエスやルイ・リュミエールといった映画の先駆者たちの伝記も執筆しています。

2001年に出版された『ソドムの鉱山』は、ロ・デュカの挑戦的な才能と博識を再認識させるきっかけとなりました。この作品は、当時の「良質な思考者」たちの検閲に挑むような内容であり、彼の著作が持つ革新性を際立たせました。

1997年、ロ・デュカは息子や孫たちと暮らしていたナンテールを離れ、多くの友人が住むサモワ＝シュル＝セーヌに移住しました。2004年8月6日、同地で生涯を終えました。彼のサモワ＝シュル＝セーヌへの愛着を記念し、市庁舎に面する市立図書館は「ロ・デュカ図書館」と名付けられました。

主な著作

『La Sphère de platine』（1945年）
『Giorgio de Chirico』
『Neige sur la baltique』
『La France contre la France』
『Histoire du cinéma』（1950年、アンドレ・バザン、ジャック・ドニオル＝ヴァルクローズと共著）
『Bayard, le premier photographe』
『La Technique du cinéma』（1963年）
『Le Journal Secret de Napoléon Bonaparte』
『L'Histoire de l'érotisme』（1969年）
『Dictionnaire de sexologie』
* 『Les Mines de Sodome』（2001年）


ロ・デュカは、その生涯を通じて、映画、歴史、性科学といった多様な分野で数多くの著作を残しました。彼の作品は、知的好奇心と挑戦的な精神に満ちており、今なお多くの読者を魅了しています。

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