ゴリアール

ゴリアールとは：中世の聖職者による風刺集団

ゴリアール（またはゴリアード、ゴリヤード、ゴリャード、Goliards）は、12世紀から13世紀にかけて、ラテン語で風刺詩を書き、酒を愛した聖職者の集団を指します。彼らは主にフランス、ドイツ、イタリア、イングランドの大学を遍歴する学生聖職者であり、十字軍の失敗や教会の財政悪用といった内部の矛盾を、歌や詩、パフォーマンスを通じて批判的に表現しました。

語源の謎

「ゴリアール」という言葉の起源は定かではありません。有力な説としては、ラテン語の「gula（大食い）」に由来するというものや、「ゴリアス司教（Bishop Golias）」という謎めいた人物に由来するというものがあります。また、『旧約聖書』に登場する巨人ゴリアテの中世ラテン語形が語源であるという説も存在します。

研究者の間では、クレルヴォーのベルナルドゥスとインノケンティウス2世の書簡で、ピエール・アベラールがゴリアテとして言及されていることから、ゴリアスとアベラールの支持者との関連性が指摘されています。さらに、「gailliard（陽気な仲間）」に由来するという説も提唱されています。

教会への痛烈な風刺

ゴリアールの風刺は、教会に向けられた嘲笑でした。彼らは、教会での儀式をパロディ化するなど、大胆な行動に出ました。例えば、サン＝レミ＝ド＝プロヴァンスでは、ゴリアールは行列を組んでミサに参加する際、それぞれが紐につけたニシンを地面に這わせ、前の人のニシンを踏み、自分のニシンを踏まれないようにして遊んだと言われています。

また、ある地域では「ロバ賛美」という儀式が行われました。これは、ばかげた服を着せられたロバを聖歌隊長が賛美歌を歌う内陣の柵に連れてきて、聖歌隊長が賛美すると、会衆が「Hi Han, Sire Ane, Hi Han（あーと言われた、ロバ陛下が、あーと言われた）」と応唱するというものでした。

パリ大学は、このような行為に対して苦情を申し立てています。「司祭ならびに聖職者が……女性の服を着て聖歌隊席で踊り……猥褻な歌を歌う。ミサ執行司祭がミサを唱えている間、祭壇でブラックプディング（血を大量に使った黒いソーセージ）を食べる。祭壇でさいころ遊びをする。古い靴の靴底から悪臭を発する煙のする香を炊く。恥知らずにも教会のあちこちを走り回り、跳ね回る。そして最後には、ぼろぼろの車を町や劇場で走らせ、俗悪な身振りと下劣で淫らな言葉を持ったその恥ずべき見世物に仲間や見物人の笑いが起きる」。

ゴリアールは、ミサやラテン語の賛美歌といった神聖な出典を、世俗的かつ風刺的な目的のために利用しました。彼らの詩には、スコラ哲学の隠語が頻繁に登場し、風刺の対象はほぼ一様に教会に向けられ、教皇さえも攻撃しました。ゴリアールは、教会内の不正を告発するプロテスト運動としての側面を持っていたと言えるでしょう。

教会からの懲罰

ゴリアールは、その活動によって教会から懲罰を受けました。1227年のトリーア公会議では、ゴリアールの合唱礼拝への参加が禁止され、1229年のパリ大学のストライキでは、教皇使節の陰謀に関連した役割を演じたとされています。多くの公会議でゴリアールが議題となり、1289年には「聖職者はジョングルール、ゴリアール、道化師をすべからず」と定められました。1300年にはケルンで、ゴリアールは説教や免罪符の販売に従事することを禁じられ、聖職者特権を剥奪されることもありました。

『カルミナ・ブラーナ』とゴリアールの詩

有名な『カルミナ・ブラーナ』に収録されているラテン語詩の多くは、ゴリアールの作品です。ゴリアールの作者の中には、「匿名」の代わりに「アルキポエタ」（Archipoeta）という名前が与えられた者もいました。その他のゴリアールとしては、ピエール・ド・ブロワ（Pierre de Blois）やフィリップ・ゴーティエ・ド・シャティヨン（Philippe Gautier de Châtillon）などが挙げられます。

文学史における意義

ゴリアールは、より自然なアクセントに基づいた韻律のラテン語を開発し、ラテン語をギリシャ語の韻律に無理に合わせる必要性を解消したという点で、文学的に重要な存在です。彼らの文学運動は、新しい宗教的なラテン語韻文の可能性を切り開きました。トマソ・ダ・チェラーノの『怒りの日』、トマス・アクィナスの『パンジェ・リングァ』、セクエンツィアなどは、ゴリアールが発展に寄与したラテン語詩の形式で書かれています。

また、「ゴリアール」という言葉は、14世紀のフランス文学およびイギリス文学において、「ジョングルール」あるいは「放浪の吟遊詩人」という意味で使用されるようになり、元の聖職者との関連性は薄れていきました。この言葉は、『農夫ピアズ』やジェフリー・チョーサーの作品にも登場します。

ゴリアールは、中世社会における教会の権威に対する批判精神を象徴する存在として、文学史にその名を刻んでいます。

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