ジョンソン南礁

ジョンソン南礁は、南シナ海の南沙諸島に位置する岩礁であり、中国語では赤瓜礁、ベトナム語ではĐá Gạc Ma、タガログ語ではMabiniと呼ばれています。この岩礁は、ユニオン堆の南西に位置し、現在では中華人民共和国が実効支配しており、海南省の一部とされています。

1988年3月14日、中国は当時ベトナムが統治していたジョンソン南礁を武力攻撃し（スプラトリー諸島海戦）、実効支配を開始しました。当初は海面すれすれの岩盤の上に木造の「高脚屋」を建てて領有を主張していましたが、その後コンクリート製の建造物を建設し、「中国 赤瓜」「祖国万歳」といった文字を掲げました。中国は少なくとも2012年からこの岩礁の埋め立てを開始しており、2014年7月には陸地面積が大幅に拡大し、護岸、桟橋、宿舎と見られるコンテナ形の施設が建設され、宿舎前にはヤシの木も植えられました。2015年10月9日には、高さ50mの灯台が完成し、運用が開始されています。さらに、太陽光パネルも設置されています。戦略国際問題研究所（CSIS）の分析によると、人工島の面積は約0.11平方キロメートルに及んでいます。

中国は、ジョンソン南礁周辺に人工建造物を造成し、さらにその一部を人工島に改造し、排他的経済水域（EEZ）の存在を主張しています。しかし、ベトナム側の報道では、本来のジョンソン南礁は高潮時に海中に沈むとされており、もしこれが事実であれば、ジョンソン南礁は低潮高地とみなされます。海洋法に関する国際連合条約（国連海洋法条約）によれば、低潮高地はEEZの基線として認められないだけでなく、領海の基線としても認められません。つまり、領海、接続水域、EEZを設定することができないのです。

2016年7月12日、常設仲裁裁判所は、中国が主張する南シナ海の歴史的権利について、「国際法上の法的根拠がなく、国際法に違反する」との判断を下しました。また、ジョンソン南礁については、国連海洋法条約における「低潮高地」ではなく、「人間の居住又は独自の経済的生活を維持することのできない岩」と認定し、EEZおよび大陸棚を持たないと結論付けました。この裁定により、中国の主張するEEZは国際法上認められないことになります。

埋め立てられたジョンソン南礁の最長部分は約380メートルあります。中国によるジョンソン南礁の埋め立てと人工島化は、南シナ海における領有権争いをさらに複雑化させており、国際社会からも注視されています。

関連情報

南沙諸島
南沙諸島海域における中華人民共和国の人工島建設

外部リンク

* ジョンソン南礁 (Google Map) - 護岸が整備され埋め立てられ、多数の建造物が建築されている様子が確認できます。

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