接続水域

接続水域についての詳細

定義と概要

接続水域（せつぞくすいいき）は、領海の境界を越え、基線から24海里の範囲内に位置する水域です。この地域は沿岸国が自国の国内法令を適用することができ、法令違反に対して制御措置をとるための権限を持ちます。接続水域は、領海と公海の中間に位置づけられ、国際法に基づいて国ごとに設定される特別な区域です。

歴史的背景

接続水域の概念は、18世紀にさかのぼります。1736年にイギリスが密輸取り締まりのために「関税水域」を設定したことが始まりとされています。その後、1790年にアメリカ合衆国、1791年にはフランスが続き、自国の領海外において国内法令を適用する国々が現れました。1804年にはアメリカ最高裁が、国家の権限が領海の制限を越えることができるとする判決を下しました。1932年には、イギリスの司法委員会も同様の認識を持ち、一定距離の沿岸海域に対する法令適用が認められるべきとの見解を示しました。

1930年、国際連盟の法典化会議で接続水域についての議論が行われましたが、条約の必要性や権限行使のあり方については様々な意見が交わされました。しかし、多くの国から接続水域の制度が支持されました。

国際制度の成立

接続水域の制度は、1958年に採択された領海条約第24条により正式に認められました。この条約により、沿岸国は自国の領土や領海内における法令違反を接続水域で取り締まる権利を持つことになりました。当初は国内法令違反に限定されていたものの、各国は権限を拡大し、接続水域での法令違反にも対処可能となります。1982年の国連海洋法条約では、領海が12海里までとされたことに伴い、接続水域は24海里まで拡充されました。

接続水域における沿岸国の権限

接続水域において、沿岸国は通関、財政、出入国管理、衛生などの法令違反に対する防止や処罰に関する措置を講じることができます。ただし、国家の安全に関する侵害行為に対する規制は含まれていません。かつては、安全に関する規制が接続水域の範囲に含まれるべきとの主張もありましたが、国家の安全の概念があいまいであるため、賛同を得られませんでした。

接続水域での規制権には、2つの異なる視点があります。1つは、接続水域は基本的に公海であり、沿岸国が強制的な措置を行うことは適切でないとの主張です。もう1つは、目的が限定されている場合、沿岸国も領海と類似した権限を持ち、強制措置が行えるという観点です。この議論は、沿岸国が外部から接近する船舶に対して、法令違反が発生していない段階でも強制的な措置がとれるかどうかに焦点を当てています。

一般的には、接続水域における権限は予防的な対応にとどまるべきとされ、特に規制対象の船舶が領海や内水に入っていない段階での強制措置には慎重な見方がされています。接続水域における法律の適用とその適切な行使は、国際法の観点からも非常に重要な課題となっています。

参考文献

• - 杉原高嶺、水上千之、臼杵知史、吉井淳、加藤信行、高田映『現代国際法講義』有斐閣、2008年。
• - 筒井若水『国際法辞典』有斐閣、2002年。
• - 山本草二『国際法【新版】』有斐閣、2003年。

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