ジョン・キャドバリー

ジョン・キャドバリーの生涯と業績

ジョン・キャドバリー（John Cadbury）は、1801年8月12日にイングランドのバーミンガムで生まれました。彼の父リチャード・タッパー・キャドバリーは裕福なクエーカーの家系で、ジョンもその影響を受けました。19世紀初頭のクエーカーは、平和主義の信念から軍人になることなどはなく、また大学教育も受けることが難しい環境にありました。このため、若きジョンは専門職への道を諦め、事業に精力を注ぐことになりました。

1818年、彼はリーズの茶商のもとで徒弟修行を開始し、その後1824年にバーミンガムに戻り、自らの小さな食料品店を開業しました。最初は紅茶やコーヒーを主に扱っていましたが、徐々にチョコレートやココアが人気を博し、1831年には専用の工場を借りてチョコレートドリンクや固形ココアの製造を開始しました。

キャドバリーは、禁酒運動を信奉しており、酒の代わりにチョコレートやココアを広めることで社会問題の改善を目指しました。また、子どもの労働や動物の福祉に関しても積極的に活動し、社会改革者としての一面を持っていました。特に煙突掃除に関する児童労働の禁止を訴える運動や、動物虐待防止のために組織した「Animals Friend Society」はその後の動物福祉運動にも影響を与えました。

キャドバリー兄弟は、1847年に弟のベンジャミンが業務に加わり、1849年には小売り事業を息子のリチャードに譲ることとなりました。ジョンは2度結婚し、7人の子どもをもうけましたが、妻のキャンディアを1855年に亡くした後、1861年に引退しました。その後、息子たちによって事業が引き継がれ、1850年代には販売が急激に伸びていました。1853年にはヴィクトリア女王の御用達にもなり、1860年にはパートナーシップを解消してからも、家族経営が続いていきました。

1879年、リチャードとジョージは新しい工場を移転し、ボーンビルという庭園村落を開発しました。ボーンビルは今でもキャドバリー社の重要な拠点であり、この地域は長年にわたり禁酒地区として知られています。最近では2007年、地域住民が大手スーパーとの裁判を経て、アルコール類の販売を阻止することに成功しました。

ジョン・キャドバリーは、その引退後もバーミンガムの公職や社会活動に関与し続け、1898年に逝去するまで地域社会に大きな影響を与えた実業家として記憶されています。彼の開発した乳化加工技術は、現代のチョコレートバー誕生にも寄与し、キャドバリー社の成長を支える基盤ともなりました。

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