ジョン・ボーフォート (初代サマセット公)

初代サマセット公ジョン・ボーフォート

初代サマセット公ジョン・ボーフォート（John Beaufort, 1st Duke of Somerset, KG, 1404年3月25日洗礼 - 1444年5月27日）は、百年戦争期のイングランド貴族であり、軍司令官として活動しました。彼は、サマセット伯ジョン・ボーフォートの次男として生まれ、兄にヘンリー・ボーフォート、弟にエドムンド・ボーフォートがいます。また、ヘンリー4世の甥、ヘンリー5世の従弟にあたり、テューダー朝を開いたヘンリー7世は彼の孫にあたります。

生涯

1418年、兄ヘンリーの急逝により、ジョン・ボーフォートは第3代サマセット伯を襲爵しました。翌1419年、ヘンリー5世のフランス遠征に従軍し、1421年には王弟クラレンス公トマス・オブ・ランカスターの指揮下でアンジュー地方で戦いました。しかし、ボージェの戦いでクラレンス公が戦死し、サマセット伯は弟とともに捕虜となってしまいます。

1425年3月25日、サマセット伯は成人しましたが、捕虜となっていたため、父の遺産を相続することができず、その所領は母が管理し続けることとなりました。17年もの間、幽閉生活を送った後、1438年に身代金を支払って解放されました。解放後、彼はイングランド軍の主要な指揮官の一人となります。翌1439年にマーガレット・ビーチャムと結婚し、1443年には一人娘マーガレットが誕生しました。

1442年、ギュイエンヌ（ガスコーニュ）方面の司令官に任命され、1443年にはサマセット公に昇格。ケンダル伯にも叙爵され、ガーター騎士団のメンバーにも任命されました。同年8月には大陸へ遠征しますが、司令官としての力量は乏しく、この人事は叔父であるヘンリー・ボーフォート枢機卿の意向が大きく影響していました。枢機卿は、ボーフォート家の勢力拡大と政敵であるノルマンディー総督・ヨーク公リチャードを牽制しようと目論んでいたのです。

フランス遠征は失敗に終わり、1444年、ジョン・ボーフォートは急死しました。その死は自殺だったという説もあります。嫡出の息子がいなかったため、サマセット公位は一旦消滅し、弟のエドムンドがサマセット伯位を継承。後にサマセット公位も継ぐことになります。娘のマーガレットはサフォーク公ウィリアム・ド・ラ・ポールに引き取られ、その息子ジョンと結婚しました。

子女

マーガレット・ビーチャムとの間に一人娘をもうけました。

マーガレット・ボーフォート（1443年5月31日 - 1509年6月29日）：サフォーク公ジョン・ド・ラ・ポール、リッチモンド伯エドマンド・テューダー、ヘンリー・スタッフォード卿、ダービー伯トマス・スタンリーと結婚。後のイングランド王ヘンリー7世の母。

また、3人の庶子が確認されています。

ジャシンダ（1434年頃 - 1469年以降）：グレイ・ドゥ・ウィルトン男爵レジナルド・グレイと結婚。
トマシン（1444年以前 - 1494年頃）。
ジョン・オブ・サマセット（1444年頃 - 1453年）。

参考文献

尾野比左夫『バラ戦争の研究』近代文芸社、1992年。
松村赳・富田虎男編『英米史辞典』研究社、2000年。
* 城戸毅『百年戦争―中世末期の英仏関係―』刀水書房、2010年。

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