ジョン・レンボーン

ジョン・レンボーン：英国フォーク界の巨匠

ジョン・レンボーン（John Renbourn、1944年8月8日 - 2015年3月26日）は、イギリスが生んだ卓越したギタリスト、作曲家です。フォークミュージックを基盤としながらも、ケルト音楽、古楽、クラシック、ブルース、ジャズなど、ジャンルを超越した幅広い音楽性を持ち、独自のプレイスタイルを確立しました。

生い立ちと音楽への目覚め

ロンドンのメリルボーンで生まれたレンボーンは、幼少期からクラシックギターを学び、古楽にも親しみます。1950年代のスキッフルブームの影響を受け、レッドベリー、ジョッシュ・ホワイト、ビッグ・ビル・ブルーンジーといったブルースの巨匠たちに傾倒。多様な音楽との出会いが、彼の音楽性を育んでいきました。

1960年代：フォーク・リバイバルとバート・ヤンシュとの出会い

1960年代、ロンドンではリズム・アンド・ブルースが隆盛し、デイヴィ・グレアムの革新的なギター奏法が注目を集めます。レンボーンはマック・マクロードとのツアーやR&Bバンドでの演奏を経て、フォーク・リバイバルの波に乗ります。フォーククラブでの演奏活動を通じて、ブルース＆ゴスペルシンガーのドリス・ヘンダースンと出会い、バックギタリストとして2枚のアルバムを制作。また、ソーホーのフォーク会場「レ・クザン」では、バート・ヤンシュと出会い、後に「フォーク・バロック」と呼ばれる複雑なデュエットスタイルを確立。アルバム『華麗なる出会い (Bert and John)』でそのスタイルを披露しました。

ペンタングル時代：フォークとジャズの融合

1960年代後半、レンボーンはジャッキー・マクシー、バート・ヤンシュ、ダニー・トンプソン、テリー・コックスと共に伝説的フォークバンド「ペンタングル」を結成。フォーク、ジャズ、ブルース、トラッドを融合させたサウンドは、世界中の音楽ファンを魅了しました。1968年のアメリカツアーでは、カーネギー・ホールやニューポート・フォークフェスティバルで演奏し、成功を収めました。

ソロ活動：多様な音楽性の探求

ペンタングル在籍中から、レンボーンはソロ活動も精力的に展開。ケルト音楽を基調としたトラディショナルな楽曲や、様々な音楽スタイルを織り交ぜた楽曲を発表しました。1970年代後半には、ステファン・グロスマンとの共演でフォーク・バロックを演奏。1980年代にはダーティントン芸術大学でクラシック音楽を学び、作曲と管弦楽法の学位を取得。フォーク以外の分野にも活動の幅を広げました。

晩年

1987年にはマギー・ボイル、スティーブ・ティルストン夫妻、トニー・ロバーツと「Ship of Fools」を結成し、アルバムを発表。1993年にはロビン・ウィリアムソンとのデュエットアルバム『Wheel of Fortune』がグラミー賞にノミネートされました。

2015年3月26日、スコットランドの自宅で心臓発作により70歳で逝去。彼の音楽は、今もなお多くの人々に愛され続けています。

音楽的特徴と影響

ジョン・レンボーンの音楽は、フィンガーピッキングによる繊細なギターテクニックと、フォーク、ブルース、ジャズ、古楽など多様な音楽要素の融合が特徴です。彼の音楽は、デイヴィ・グレアムなど同時代のギタリストたちとともに、後の世代のギタリストに多大な影響を与えました。

ディスコグラフィー (一部抜粋)

John Renbourn (1965)
Another Monday (1967)
鎧面の騎士 (Sir John Alot of Merry Englandes Musyk Thynge and ye Grene Knyghte) (1968)
ザ・レディ・アンド・ザ・ユニコーン (The Lady and the Unicorn) (1970)
華麗なる出会い (Bert and John) (with バート・ヤンシュ、1966)
ペンタングル (The Pentangle) (1968)

ジョン・レンボーンの功績

ジョン・レンボーンは、フォークミュージックの枠を超え、多様な音楽性を融合させた独自の音楽を追求し、英国フォーク界に多大な功績を残しました。彼の音楽は、今もなお多くのギタリストや音楽ファンに影響を与え続けています。

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