ジョン・ロバート・クラインス

ジョン・ロバート・クラインス：イギリス労働運動の先駆者

ジョン・ロバート・クラインス（1869年3月27日 - 1949年10月23日）は、イギリスの労働運動と政治において重要な役割を果たした人物です。労働党に所属し、35年間にわたり庶民院議員を務め、イングランド人として初めて労働党の党首に就任しました。

生い立ちと初期の活動

クラインスは、ランカシャーのオールダムで労働者の子として生まれました。10歳から地元の綿工場で働き始め、過酷な労働環境を経験しました。16歳の時には、織物産業における児童労働に関する記事を執筆し、1年後には労働組合の結成に尽力するなど、早くから労働運動に関わるようになりました。1892年にはランカシャーガス労働者組合のオルガナイザーとなり、フェビアン協会とも関係を深め、社会主義思想に触れました。

政治家としての台頭

クラインスは、独立労働党を経て、1900年の労働者代表委員会（後の労働党）結成大会に参加しました。1906年の総選挙で北東マンチェスター選挙区から出馬し、初当選を果たし、党内で注目を集める存在となりました。1910年には副党首に就任し、党内での地位を確立しました。

第一次世界大戦が勃発すると、クラインスはラムゼイ・マクドナルドとは異なり、イギリスの武力介入を支持しました。1917年にはデイヴィッド・ロイド・ジョージ連立政権で食糧管理大臣を務め、食糧供給の安定に貢献しました。翌年には同大臣に昇格し、1918年の総選挙ではマンチェスター・プラッティング選挙区から出馬し、当選しました。

労働党党首として

1922年の総選挙において、クラインスは党首として選挙前の52議席から142議席に増やすという大躍進を遂げました。これは、労働党の歴史における大きな転換点となり、クラインスの指導力が高く評価されました。

しかし、1921年の党首選では、平和主義を主張していたラムゼイ・マクドナルドに辛勝しました。マクドナルドが首相に就任すると、1924年の政権崩壊まで庶民院の党首に任命され、第2次マクドナルド政権（1929年 - 1931年）では内務大臣を務めました。

マクドナルドとの決別

1931年、世界恐慌の影響を受け、緊縮政策を採るマクドナルドに対し、クラインスはアーサー・ヘンダーソンやジョージ・ランズベリーと反マクドナルドで結集しました。マクドナルドが挙国一致内閣を組閣するために労働党を離党すると、クラインスは彼と袂を分かつこととなりました。同年の選挙でマンチェスター・プラッティング選挙区から出馬するも落選しましたが、1935年に同選挙区から再選を果たし、1945年の総選挙まで庶民院議員を務めました。

クラインスは、労働者の権利擁護と社会正義の実現のために生涯を捧げました。彼の政治的遺産は、今日のイギリス労働党の理念にも受け継がれています。

もう一度検索