ジョヴァンニ・ソッリマ

ジョヴァンニ・ソッリマ（Giovanni Sollima）は、1962年 10月24日、イタリアのシチリア島パレルモに生まれた作曲家であり、世界的に活躍するチェリストです。

略歴

音楽家としてのキャリアは、音楽一家に生まれたことに始まります。故郷パレルモの音楽院で、ジョヴァンニ・ペッリエーラにチェロを、そして父であるエリオドロ・ソッリマから作曲の手ほどきを受けました。同音楽院を優秀な成績で修了した後、ドイツのシュトゥットガルト音楽演劇大学とオーストリアのモーツァルテウム音楽大学へと進み、高名なアントニオ・ヤニグロのもとでチェロ演奏の研鑽を積み、またミルコ・ケレメンに作曲を学びました。

音楽スタイル

ソッリマの音楽は、ミニマル・ミュージックからの強い影響を根底に持ちつつも、それを独自の形で昇華させています。彼の作品では、特徴的なモーダルなメロディラインと反復的な構造が多く見られます。しかし、アメリカのミニマル作曲家と比較すると、そのアプローチはより多様で取捨選択的であるため、アメリカの批評家カイル・ガンは彼をポストミニマリズムの作曲家と位置づけています。さらに、彼の音楽性を特徴づけているのは、ジャンルを越えた素材の大胆な融合です。クラシック音楽はもちろんのこと、ロック、ジャズ、ポップスといった現代音楽、さらには中東、地中海、アフリカに伝わる様々な民族音楽の要素を自在に取り込み、ユニークで魅力的なサウンドを生み出しています。

活動

演奏家としては、世界の著名な舞台でその才能を発揮してきました。ニューヨークのカーネギー・ホール、ロンドンのクイーン・エリザベス・ホール、シドニー・オペラハウスといった一流のコンサートホールでの公演は枚挙にいとまがありません。また、ヨーヨー・マ、フィリップ・グラス、クラウディオ・アバドといったクラシック界や現代音楽界の巨匠たちとの共演も数多く、彼らからも絶賛されています。

作曲家としての影響力も大きく、特にチェロ界においてその存在感は際立っています。マリオ・ブルネロや2CELLOSをはじめとする世界中のチェリストたちが、ソッリマの作品を積極的に演奏レパートリーに取り入れています。「チェロよ、歌え！」「ラメンタチオ」「アローン」といった楽曲は、チェロの表現の可能性を広げると同時に、作曲家と演奏者という従来の枠を超えた新しい音楽のあり方を示唆しています。

教育活動にも熱心で、ローマのサンタ・チェチーリア音楽院で後進の指導にあたっています。

特定のイベントへの貢献としては、イタリアで毎年開催され13万人もの観客を動員する大規模な民族音楽フェスティバル「La Notte della Taranta」において、2013年と2014年の2年連続でディレクター、指揮、コンサートマスターを務めました。

また、ソッリマを象徴する革新的なプロジェクトに「100チェロ」があります。これは、2012年頃に始まり、プロ、アマチュア、ジャンルを問わず100人ものチェリストが一堂に会し、共にクリエーションを行いコンサートを開催するというユニークな試みです。この活動は国際的に展開されており、2019年には日本のすみだトリフォニーホールで初めて開催され、大きな成功を収めました。同年、ドヴォルザークのチェロ協奏曲のソリストとして、藤岡幸夫指揮、東京シティ・フィルハーモニック管弦楽団との共演が実現し、聴衆からはスタンディングオベーションと惜しみない賞賛が送られました。

過去には、2020年5月にソロでの来日ツアーや、三味線奏者・西潟昭子の委嘱により2005年に作曲された、三味線とオーケストラのための大作「Theory of the Earth」の再演が予定されていました。

使用楽器

ソッリマは演奏において、1679年クレモナ製の「フランチェスコ・ルジェッリ」を愛用しています。作品や演奏の性質に応じて、2002年マントヴァ製の「カルロ・カンティーニ」によるエレクトリックチェロや、2003年製の「ヴァルテル・カンジャロージ」によるテノールヴァイオリンを使用することもあります。

主な作品

ソッリマは多岐にわたるジャンルで多くの作品を発表しており、その一部はアルバムとしてもリリースされています。代表的なアルバムには『Aquilarco』(1998年)や『CARAVAGGIO』(2012年)などがあります。管弦楽曲、室内楽曲、オペラ、バレエ音楽、劇付随音楽など、その作曲分野は非常に幅広く、常に新しい表現を追求し続けています。例えば、三味線と弦楽オーケストラのための「Theory of the earth」(2005年)や、8台のチェロのための「チェロよ歌え！」(1993年)など、革新的な編成や異文化の要素を取り入れた作品が多く見られます。

ジョヴァンニ・ソッリマは、伝統的なチェロの可能性を押し広げ、現代音楽に新たな息吹を吹き込む、稀有な存在と言えるでしょう。

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