ジヨードメタン

ジヨードメタン：性質、用途、取り扱い

ジヨードメタン(CH₂I₂),別名ヨウ化メチレンは、特徴的な性質を持つハロメタンです。無色の液体ですが、光に当たるとヨウ素を遊離し、茶色っぽく変色します。水には溶けにくい一方、エーテルやアルコールには溶解します。特筆すべきはその屈折率の高さで、約1.741という値を示します。

用途

ジヨードメタンの大きな[比重]が、その主な用途の基礎となっています。古くから無機化合物の比重測定や分離に用いられてきました。異なる密度の物質を分離する際に、ジヨードメタンの層に物質を投入することで、比重の差に基づいて物質を分離することが可能です。

しかし、ジヨードメタンは毒性を有するため、近年ではより安全な代替物質への転換が進められています。人体への影響を考慮すると、取り扱いには細心の注意が必要です。

また、ジヨードメタンは有機合成化学においても重要な役割を果たします。シモンズ・スミス反応など、特定の有機合成反応の試薬として利用されています。この反応は、アルケンにジヨードメタンとジエチル亜鉛を作用させてシクロプロパン環を生成する反応です。

合成

ジヨードメタンは市販されていますが、ヨードホルムを亜ヒ酸ナトリウムで還元することで合成することも可能です。この反応は塩基性条件下で行われます。

反応式は以下の通りです。

CHI₃ + Na₃AsO₃ + NaOH → CH₂I₂ + NaI + Na₃AsO₄

保管と取り扱い

ジヨードメタンは毒性を有するため、保管および取り扱いには注意が必要です。適切な換気設備を備えた場所で保管し、直射日光を避け、冷暗所に保存することが重要です。密閉可能な容器を使用し、破損や漏洩がないように注意しましょう。

加熱によって分解し、ヨウ素化合物を生成するため、加熱は厳禁です。また、アルケン、ジエチル亜鉛、黄銅、エーテル、アルカリ金属(リチウム、カリウム、ナトリウム)、ナトリウムカリウム合金、強い酸化剤、強塩基などとは混ぜないように注意してください。これらの物質との反応は危険を伴います。

関連物質

ジヨードメタンと類似の構造を持つ化合物としては、ヨードメタン、ヨードホルム、四ヨウ化炭素、ジクロロメタン、クロロホルム、ブロモホルムなどがあります。これらの化合物は、用途や性質がジヨードメタンと類似している点や、合成経路に関連している点で関連があります。

ジヨードメタンを取り扱う際には、その毒性と反応性を常に意識し、安全な実験操作を心がけてください。

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