ジーナ・ロロブリジーダ

ジーナ・ロロブリジーダ（Gina Lollobrigida、1927年7月4日 - 2023年1月16日）は、イタリアを代表する女優であり、フォトジャーナリストとしても国際的に活躍した人物です。本名はルイジーナ・ロロブリジーダ（Luigina Lollobrigida）。出生地はローマ近郊のスビアーコで、その生年は資料によって1927年または1928年、1929年と異説があります。

生い立ちと初期のキャリア

1927年7月4日、家具工場を経営する父ジョヴァンニ・メルクリ・ロロブリジーダと母ジュゼッピーナの間に、4人姉妹の次女として生まれました。1943年、第二次世界大戦の影響で工場が爆撃され破壊されるという経験をしています。1945年にはローマに移住し、ウンブリア州のオペラハウスでコメディーに出演するなど、芸能活動を始めました。1946年には、ローマの美術アカデミーに入学し、彫刻や絵画を学びました。この頃、ジーナ・ロリスという名前でフォトノベルのモデルとしても活動し、映画『Aquila nera』でスクリーンデビューを果たしました。また、ミス・ラツィオの準優勝に輝くなど、その美貌も注目を集めました。

国際的なスターへ

1947年、ミス・イタリアで第3位に入賞したことがきっかけとなり、1948年の映画『愛の妙薬』のヒロインに抜擢され、女優としてのキャリアを本格的にスタートさせます。1952年には、『花咲ける騎士道』や『夜ごとの美女』に出演し、国際的なブレイクを果たしました。この成功がハリウッドへの進出の足がかりとなり、1953年には『悪魔をやっつけろ』でハリウッドデビューを飾ります。以降、世界的な人気を博し、数々の映画に出演しました。1964年と1965年には、日本の人気テレビ番組『スター千一夜』にも出演しています。

女優業からの転身と晩年

1973年、ロロブリジーダは女優業を一時休止し、写真家や彫刻家としての活動を始めました。この期間に、ポール・ニューマンやサルバドール・ダリ、ヘンリー・キッシンジャーなど、著名人のポートレートを撮影し、1975年にはキューバの指導者フィデル・カストロへの単独インタビューにも成功しています。また、1974年には写真集『Italia Mia』を発表しています。その後、映画界に復帰し、1980年代にはモントリオール世界映画祭やベルリン国際映画祭で審査委員長を務めるなど、国際的な映画祭にも貢献しました。1990年代に入ると女優としての活動は縮小しましたが、その後も欧州議会議員に立候補したり、国際連合食糧農業機関の親善大使に任命されたりと、多岐にわたる活動を展開しました。晩年は彫刻家としての活動に力を入れ、大理石を素材とした作品を制作していました。2023年1月16日、ローマの診療所にて95歳でその生涯を閉じました。

私生活とゴシップ

1949年、スロベニア人医師ミルコ・スコフィッチと結婚し、1957年に息子のアンドレア・ミルコをもうけましたが、1971年に離婚しました。1974年には写真集の宣伝で来日し、日本のパパラッチの過剰な取材について言及しています。2006年にはスペインの実業家との結婚が報じられましたが、後に解消されています。2013年には、元恋人に詐欺を告発するなど、晩年まで波乱に満ちた私生活が話題となりました。同年、サザビーズのオークションに出品した真珠のイヤリングが、真珠のイヤリングとしては史上最高額の239万ドルで落札され、その売上の一部は幹細胞研究に寄付されました。

その他

ロロブリジーダの愛称である「ロロ」は、フランス語のスラングで「おっぱい」という意味を持ちます。1990年には、フランスのバラ育種家によって、彼女の名前を冠したバラの新品種「ジーナ・ロロブリジーダ」が発表されました。また、柔らかいレタスの一種も、その美しさから彼女にちなんで「Lollo」と名付けられました。

主な出演作品

ロロブリジーダは、数々の映画に出演し、その美貌と演技力で世界中の観客を魅了しました。主な作品には、『白い国境線』、『花咲ける騎士道』、『夜ごとの美女』、『悪魔をやっつけろ』、『ノートルダムのせむし男』、『ソロモンとシバの女王』、『九月になれば』などがあります。

受賞・叙勲

ロロブリジーダは、その功績を称えられ、1954年のベルリン国際映画祭特別功労賞や、1961年のゴールデングローブ賞、フランス芸術文化勲章、レジオンドヌール勲章、イタリア共和国功労勲章など、数々の賞を受賞しています。

ジーナ・ロロブリジーダは、その美貌と才能で世界を魅了しただけでなく、波乱に満ちた人生を生き抜いた、まさに伝説的な女優でした。

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