スビアーコ

スビアーコ：歴史と修道院文化が息づくイタリアの古都

スビアーコは、イタリアのラツィオ州ローマ県に位置する人口約8,900人のコムーネです。ローマから東へ約50km、アニエーネ川上流の山あいに位置し、その豊かな自然と歴史的建造物で知られています。

地理

スビアーコは、シンブルイーニ山地の南西麓、アニエーネ川のほとりに位置しています。この場所は、ローマからの距離だけでなく、ティヴォリやフロジノーネといった他の重要な都市からのアクセスも良好です。町の中心部は標高408mに位置し、周辺の山々には1400mを超える標高の山々も存在します。

隣接コムーネ

スビアーコは、以下のコムーネと隣接しています。

北: カメラータ・ヌオーヴァ
東: ヴァッレピエトラ
南東: イェンネ、アルチナッツォ・ロマーノ
南: アッフィーレ
西: ロッカ・サント・ステーファノ、カンテラーノ
北西: アーゴスタ、チェルヴァーラ・ディ・ローマ

歴史

古代

古代、この地域にはアエクイ族が居住していましたが、紀元前304年にローマ人によって征服されました。ローマ人はアニエーネ川の水を利用し、この地を開発しました。特に皇帝ネロは、この地に豪華な別荘を建て、3つのダムを築き、人工湖を造りました。この湖の付近に作られた町は「湖の下」を意味するスブラクエウムと呼ばれ、これが現在の都市名の由来となりました。

中世

修道院の建設と発展

スビアーコは、西方教会における修道制度の創始者である聖ベネディクトゥスのゆかりの地です。聖ベネディクトゥスは、この地の洞窟で隠遁生活を送り、修道院を設立しました。この修道院は、教皇たちの庇護のもと、11世紀から12世紀にかけて繁栄しました。サンタ・スコラスティカ修道院や聖ベネディクトゥスが生活した「聖なる洞窟」サクロ・スペコは、現在でも観光地として多くの人が訪れます。

聖ベネディクトゥスの隠遁生活: ヌルシア出身の聖ベネディクトゥスは、アニエーネ川のほとりの洞窟で3年間隠遁生活を送りました。この洞窟は、後にサクロ・スペコと呼ばれるようになり、ベネディクトゥスはここで修道会の理念を築きました。
サンタ・スコラスティカ修道院: 聖ベネディクトゥスが最初に建てた修道院の一つで、ロンバルド人による破壊の後、再建されました。この修道院は、ベネディクトゥスと彼の妹スコラスティカに捧げられ、数々の教皇の庇護を受け、大きな発展を遂げました。
* 修道院の俗化: 修道院は、宗教的な熱意の低下とともに、内部で争いや不和が生じるようになりました。14世紀には教皇庁が修道院長を任命するようになり、修道院の財産が浪費されることもありました。しかし、その後も修道院は多くの人々に愛され、信仰の拠点として重要な役割を果たしました。

イタリア最初の活版印刷

15世紀には、ドイツ人の印刷技術者によってスビアーコでイタリア初の活版印刷が行われました。これにより、多くの書籍が印刷され、ヨーロッパにおけるルネサンス文化の発展に貢献しました。

近世以後

19世紀には、ナポレオン軍がスビアーコを占領し、修道院や教会が略奪されるなど、大きな被害を受けました。その後、この地はイタリア王国の一部となり、20世紀にはインフラ整備が進められました。第二次世界大戦中には爆撃を受けましたが、戦後復興を遂げました。

文化・観光

スビアーコは、「イタリアの最も美しい村」クラブに加盟しており、観光地としても人気があります。特に、サンタ・スコラスティカ修道院やサクロ・スペコは多くの観光客が訪れます。

交通

主要な道路としてSR411号線が通っており、鉄道はかつてマンデーラ＝スビアーコ線が存在していましたが、1933年に廃止されました。

人物

スビアーコ出身またはゆかりのある著名人には、ルクレツィア・ボルジア、ジーナ・ロロブリジーダ、フランチェスコ・グラツィアーニなどがいます。また、聖ベネディクトゥスやその弟子プラキドゥスも、この地に深く関わった人物です。

まとめ

スビアーコは、古代から中世にかけての歴史と、修道院文化が色濃く残る魅力的な町です。豊かな自然と美しい風景は、訪れる人々に安らぎと感動を与えます。

もう一度検索