スイス・コテージ駅

スイス・コテージ駅：ロンドン地下鉄の歴史を刻む地下駅

ロンドンのカムデン区に位置するスイス・コテージ駅は、ロンドン地下鉄ジュビリー線の駅です。フィンチリー・ロード駅とセント・ジョンズ・ウッド駅の中間にあり、ゾーン2に属しています。一見すると近代的な駅舎に見えますが、その歴史は第二次世界大戦前まで遡ります。

戦時中の開業と線の変遷

スイス・コテージ駅が開業したのは1939年11月20日。当時、メトロポリタン線のスタンモア支線の機能がベーカールー線に移管されるという大規模な路線変更が行われました。この変更に伴い、既存のベーカールー線区間であるベーカー・ストリート駅とフィンチリー・ロード駅間に、新たに地下トンネルが掘削され、その中にスイス・コテージ駅が建設されたのです。

当初はベーカールー線の駅として運行を開始しましたが、1979年5月1日、ベーカールー線スタンモア支線がジュビリー線に統合されたことにより、現在に至るまでジュビリー線の駅として運行されています。

駅名の由来：歴史的パブとの繋がり

ユニークな駅名である「スイス・コテージ」の由来は、駅近くに1803年から1804年にかけて建てられたパブにあります。当初は「The Swiss Tavern」という名前でしたが、後に「スイス・コテージ」へと改名されました。このパブの名前が、そのまま駅名として採用されたというわけです。駅周辺の歴史的背景を感じさせる、興味深いエピソードです。

複雑な初期運営：メトロポリタン線との兼ね合い

開業当初は、近接していたメトロポリタン線のスイス・コテージ駅と一体的に運営されていました。具体的には、駅構内の1番線と2番線がメトロポリタン線、3番線と4番線がベーカールー線として使用されていた時期がありました。しかし、メトロポリタン線のスイス・コテージ駅は1940年8月17日に廃止され、現在ではジュビリー線の駅として単独で運行されています。

近接駅との関係：乗換駅ではない

スイス・コテージ駅は、サウス・ハムステッド駅に地理的に近い位置にありますが、両駅間の乗換はできません。そのため、両駅間を移動する際には、一度地上に出て別の交通手段を利用する必要があります。

まとめ：歴史とロンドンの地下鉄を繋ぐ

スイス・コテージ駅は、ロンドン地下鉄の歴史を語る上で欠かせない存在です。戦時中の開業、路線の変遷、そして駅名の由来など、その歴史は多様性に富んでおり、近代的な都市の中にひっそりと存在する歴史的建造物として、ロンドンの地下深くの歴史を物語っています。周辺の観光名所や、歴史的建造物と合わせて訪れることで、ロンドンの深遠な魅力をより一層堪能できるでしょう。また、ロンドン交通博物館には、この駅の開業当時の写真などが保存されており、歴史的資料として貴重な記録となっています。

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