スウィフト (駆逐艦・初代)

スウィフト（HMS Swift）

スウィフト（HMS Swift）は、イギリス海軍で特異な地位を持つ駆逐艦です。この艦は、高速駆逐艦のプロトタイプとして建設され、他に同じタイプの艦は存在しません。設計時の野心的な目標が反映されており、当艦は1913年に改装を受け、イギリス海軍初の嚮導駆逐艦としての役割も果たしました。

来歴

スウィフトの建造時には、当初の水雷艇駆逐艦（TBD）の役割に関する考えが存在していました。これらの艦は、フランス海軍の水雷艇に対する撃退作戦や敵の主力艦へ雷撃を行うために設計されていました。しかし、ドイツ帝国の台頭や国際情勢の変化を受けて、イギリス海軍は1901年度ころから北海を想定した新しい艦型の設計に取り組み始めました。これがリバー級（後のE級）の駆逐艦の建造に繋がりました。

1904年、大将ジョン・アーバスノット・フィッシャーが第一海軍卿に就任すると、艦隊の構成に関するビジョンがより明確になりました。艦隊はドレッドノート級戦艦と、高速駆逐艦からなるように設計され、駆逐艦にも戦艦に随伴できるだけの航洋性が求められるようになりました。フィッシャー大将からの要請は、リバー級の設計を基にした36ノットで航行できる速力の駆逐艦の必要性を強調しました。これに基づき建造された艦が「スウィフト」です。

艦名は当初「フライング・スカッド」として提案されましたが、1906年には現在知られている「スウィフト」に変更されました。この艦の設計及び建設費用は823万ポンドに上り、これは原型となったリバー級の3倍に達しました。

設計

スウィフトは、当初は900トン級の駆逐艦として計画されていましたが、大出力の機関が必要不可欠となったため、徐々に艦型が拡大し、最終的には2170トンと非常に大型の艦となりました。全体のデザインはリバー級と同じ船首楼型ですが、特有な肥大船型となっており、海上での青波に苦しむこともありました。1913年には艦橋が拡張され、通信機能も向上しました。

「スウィフト」は4軸推進機関を搭載し、30,000馬力の出力を持たせています。使用される機関は、パーソンズ式直結蒸気タービンで、これにより36ノットの速力を求めるものでしたが、最終的には35.099ノットにとどまりました。

装備

艦の武装は、当時の駆逐艦の標準装備を超えており、40口径の10.2センチ砲（BL 4インチ砲Mk.VIII）が採用されました。船首楼甲板上に2門、後部甲板にも同様に2門を配置し、後の装備変更で砲盾も追加されることになります。1917年には他艦からの情報に基づき、敵水雷艇に対抗するための砲の更新がなされ、結果的に15.2センチ砲が搭載されることもありましたが、その後の不具合により元の10.2センチ砲に戻ることになりました。

水雷兵器としては、標準的な18インチの単装魚雷発射管を2基搭載しています。

艦歴

「スウィフト」は第一次世界大戦中に本国艦隊の第4駆逐艦隊の旗艦として任務に就いていました。大きな艦体の利点を活かし、北海の過酷な天候でも活躍できました。1915年からはドーバー海峡の警戒任務に従事し、1917年にはドイツの駆逐艦との戦いに参加します。特にドイツ駆逐艦「G85」に対する魚雷攻撃が成功し、撃沈することで戦果を上げましたが、その後の機動に問題が出て「ブルック」を曳航することになりました。

1918年には沿岸戦隊と共に初期の襲撃作戦に参加し、戦争の終結後には艦の除籍と共に解体処分されました。スウィフトはその特異な役割と功績から、イギリス海軍の歴史に名を刻んでいます。

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