スコグルとゲイルスコグル

北欧神話のヴァルキュリャ、スコグルとゲイルスコグル

北欧神話に登場するヴァルキュリャの一人、スコグル（古ノルド語: Skögul）は、「震わすもの」あるいは「高くそびえるもの」という意味を持つ名前です。また、ゲイルスコグル（古ノルド語: Geirskögul）は、「槍のスコグル」という意味で、スコグルと並び称されるヴァルキュリャです。

スコグルとゲイルスコグルは、『ヘイムスクリングラ』では同一の存在として扱われることもありますが、『古エッダ』の詩や『詩語法』では、別々のヴァルキュリャとして登場します。ただし、『詩語法』にはスコグルの名前のみが記載されている場合もあります。

スコグルの役割

ヴァルキュリャは、戦場で勇敢に戦った戦士を選び、オーディンの館ヴァルハラへ導く役割を担っています。『ハーコンの言葉』では、オーディンがゴンドゥルとスコグルに、ヴァルハラに住まうべき者を選ぶよう命じる場面が描かれています。この詩では、大規模な戦い（フィチヤールの戦い）が「スコグルの嵐」というケニングで表現され、多くの戦士が命を落とします。

戦死したハーコンは、槍の柄に寄りかかるゴンドゥルの姿を目撃します。ゴンドゥルはハーコンに対し、「汝が聖なる神の王の御下に住まうことを命じられる」と告げます。ヴァルキュリャは「兜と盾を身に着け、青毛の馬に勇ましく跨る」姿で描かれています。ハーコンはゲイルスコグルに対し、なぜ自分たちが勝利できなかったのかを問いかけますが、スコグルは「神の王が住まう緑の家に」戻り、ハーコンがヴァルハラに来ることをオーディンに伝えると言います。その後、ハーコンはヴァルハラのエインヘリャルの一員となり、大狼フェンリルとの戦いに備えることになります。

ケニングにおけるスコグル

スコグルの名前は、ヴァルキュリャの中でも特によくケニングに用いられます。例えば、「borð Sköglar」は「スコグルの板」で盾、「dynr Sköglar」は「スコグルの喧騒」で戦い、「eldr Sköglar」は「スコグルの火」で剣、「gagl Sköglar」は「スコグルの子鵞鳥」でワタリガラス、「kápa Sköglar」は「スコグルの羽織」で鎖帷子、「veðr Sköglar」は「スコグルの風」で戦いを意味します。一方、ゲイルスコグルの名前はケニングには現れません。これは、ゲイルスコグルの名前が3音節であり、宮廷律で扱うのが難しいためと考えられています。

スコグルの名前の意味

Hilda Ellis Davidsonによれば、スコグルが「高くそびえるもの」という意味であるとすれば、その名は「その巨大な大きさに言及したもの」と考えられるとしています。

スコグルとゲイルスコグルは、北欧神話における戦乙女（ヴァルキュリャ）として、勇猛果敢な戦士をヴァルハラへ導く重要な役割を担っているのです。

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