スコーリイ級駆逐艦

スコーリイ級駆逐艦について

スコーリイ級駆逐艦は、ソビエト連邦海軍が運用した駆逐艦の艦級であり、計画名は「30-bis型駆逐艦」とも呼ばれます。この艦級は、第二次世界大戦後のソ連海軍における重要な戦力として、多数が建造されました。その特徴は、砲熕兵装と水雷兵装を重視した、伝統的な駆逐艦の設計にあります。ソ連・ロシア海軍の駆逐艦としては、最多の70隻が建造され、その数が示すように、艦隊の中核を担いました。

開発の背景

第二次世界大戦後、ソビエト連邦の指導者であったヨシフ・スターリンは、外洋海軍の建設を強く志向しました。しかし、沿海域における戦力も同時に維持する必要があったため、段階的な艦隊整備計画が立案されました。まず、1946年から1950年の第一次五カ年計画では、戦前の設計を基にした艦艇が建造されました。続く1951年から1955年の第二次五カ年計画では、大戦の教訓を踏まえ、新型艦の建造に着手するという方針が採られました。

スコーリイ級は、この第一次五カ年計画の中で、戦前の設計をベースに建造された艦級の一つです。海軍総司令官であったクズネツォフ提督は、より大型で高性能な駆逐艦を少数建造することを望みましたが、スターリンは駆逐艦戦力の増強を重視し、最終的にスコーリイ級が多数建造されることになりました。当初、約200隻の建造が計画されましたが、後に駆逐艦全体の整備目標が削減されたため、スコーリイ級の建造数も調整されました。

設計の特徴

スコーリイ級駆逐艦の設計は、1945年10月8日に開始され、1947年1月28日に基本設計が承認されました。設計にあたっては、速力36ノット、巡航速度15.5ノットで3,500海里の航続距離という性能目標が設定されました。急速な建造を可能にするため、先行するオグネヴォイ級駆逐艦の設計を多く踏襲しつつ、戦後にドイツから得られた駆逐艦の技術要素も取り入れられました。

船体構造においては、ソ連で初めて全溶接式・縦肋骨式が採用されました。これにより、30型駆逐艦と比較して船体構造が強化され、船殻重量が大幅に増加しました。また、101個のモジュールに分割して建造することで、効率的な建造を実現しました。例えば、「セリョズヌイ」は起工から約1年で竣工しています。凌波性を高めるため、強いシアを有する船首楼船型を採用し、乾舷も高く設計されています。

ただし、波浪対策は十分とは言えず、荒天時には、空気取入口から海水が流入するなどの問題が発生しました。艦橋は露天式であり、建造時期を考えるとやや旧弊な設計でした。水線下の設計も古典的であり、舵は1枚、推進軸の整流覆などにも特徴が見られました。艦尾部にはスケグは設けられず、ビルドアップ方式が採用されました。旋回径は船の長さの8.5倍と大きかったため、後にビルジキールが追加されました。

機関は、重油専焼式のKV-30型水管ボイラー4基とTV-6型蒸気タービンにより、2軸のスクリュープロペラを駆動するギアード・タービン方式が採用されました。

兵装

スコーリイ級駆逐艦は、砲熕兵装と水雷兵装を重視した、伝統的な駆逐艦としての性格を有しています。主な兵装としては、B-2LM 50口径130mm連装砲2基、92-K 52口径85mm連装高角砲1基、70-K 67口径37mm単装機関砲7基が搭載されました。これらの火砲を管制するため、艦橋トップには大型のKDP2-4L主方位盤、後部にはSVP-29RLM副方位盤が設置されました。

1952年からは、一部の艦において兵装の近代化が行われ、70-K 37mm単装機関砲はV-11 37mm連装機関砲4基に換装され、重機関銃も25mm機関砲に換装されました。さらに、1957年からは、一部の艦を対象として、電子情報収集能力を強化する改修も実施されました。この改修にあわせて、対空・対潜兵器の強化も行われ、艦首側の85mm高角砲、37mm機関砲、主方位盤、5連装魚雷発射管が撤去され、57mm単装砲5基とRBU-2500対潜ロケット砲2基が搭載されました。ソナーとしては、当初はタミル-5Nが搭載されていましたが、1952年の改装でペガス-2に換装されました。

結論

スコーリイ級駆逐艦は、ソ連海軍の主力駆逐艦として、数多くの同型艦が建造され、長年にわたり活躍しました。その設計は、当時のソ連の技術力を反映しており、大戦後の海軍力増強に大きく貢献しました。

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