スゴモロコ

スゴモロコ（Squalidus chankaensis biwae）について

スゴモロコは、コイ目コイ科カマツカ亜科に分類される淡水魚で、かつては琵琶湖の固有亜種として知られていました。しかし、近年ではアユの放流に混じって、関東平野や高知県などにも定着が確認されています。西日本地域には、別亜種のコウライモロコが生息しています。

形態

スゴモロコの全長は9～12cm程度で、細長い体型をしています。目は大きく、吻（ふん）から背びれまでの輪郭は直線的です。口ひげは長く、目の直径と同じくらいの長さになります。体色は淡い黄褐色で、やや光沢のある緑褐色の縦縞模様が見られます。背部の鱗には、暗色の斑点があります。

繁殖期の雄は、体がやや黒ずみ、胸びれ周辺以外に小さな白い追い星が現れます。スゴモロコは、コウライモロコや同属のデメモロコと混同されることがありますが、体型にはわずかな違いがあります。また、交雑も見られるため、判別が難しい個体も存在します。

生態

琵琶湖では、スゴモロコは群れを形成し、水深5～10m程度の砂泥底に生息しています。内湖へはあまり入らず、冬期には水深20～40mのやや深い泥底部へ移動します。食性は雑食性で、ミジンコなどの浮遊生物から、小型のスジエビやユスリカの幼虫といった底生生物、さらには巻き貝なども捕食します。

琵琶湖での産卵期は6月から7月で、水深2～6mの砂泥底に1500～6000個の卵を産み付けます。卵は約3日で孵化し、成長した稚魚は水深2～3mの泥底で生活します。

人間との関わり

スゴモロコは、ホンモロコの代用として、デメモロコなどと共に食用に利用されることがあります。独特の風味があり、地元では貴重な食材として親しまれています。

保全状況

スゴモロコは、環境省のレッドリストで絶滅危惧II類（VU）に指定されており、生息環境の悪化や外来種の影響などにより、個体数が減少傾向にあります。今後の生息状況を継続的に調査し、適切な保全策を講じることが重要です。

参考文献

宮地傳三郎、川那部浩哉・水野信彦『原色日本淡水魚類図鑑』（全改訂新版）保育社、1976年、181-183頁。ISBN 978-4-586-30032-7。
細谷和海(スゴモロコ部分)『山渓カラー名鑑 日本の淡水魚』山と渓谷社、1989年。ISBN 4-635-09021-3。
川瀬成吾(スゴモロコ部分)『小学館の図鑑Z 日本魚類館』小学館、2018年。ISBN 978-4-09-208311-0。
細谷和海『山渓ハンディ図鑑15 増補改訂 日本の淡水魚』山と渓谷社、2019年。ISBN 978-4-635-07043-0。

関連項目

* 魚の一覧

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