スター・スター

ローリング・ストーンズの隠れた名曲「スター・スター」：その誕生から論争まで

ローリング・ストーンズの1973年発表アルバム『山羊の頭のスープ』のラストを飾る「スター・スター」(Star Star)は、バンドの代表曲の一つとして知られるものの、その誕生秘話や歌詞をめぐる論争はあまり知られていません。本稿では、この楽曲の全貌に迫ります。

チャック・ベリー風のリフと辛辣な歌詞

軽快なロックンロールナンバーである「スター・スター」は、チャック・ベリーを思わせるリフが印象的です。しかし、その陽気なメロディーとは裏腹に、歌詞は有名人と関係を持つ女性、いわゆる「グルーピー」を痛烈に批判する内容となっています。ミック・ジャガーとキース・リチャーズの共作とされていますが、リチャーズによれば、歌詞はジャガーによって一人で書かれたとのことです。

アルバム発表までの波乱：改題と検閲

当初、この楽曲は「スターファッカー (Starfucker)」という過激なタイトルでした。しかし、アトランティック・レコードの社長、アーメット・アーティガンによって、より穏やかな「スター・スター」に変更されました。さらに、歌詞にはスティーヴ・マックイーンやアリ・マッグロー、ジョン・ウェインなど、実在の人物が登場します。訴訟リスクを回避するため、バンドはマックイーン本人へ楽曲を送り、使用許可を得てリリースにこぎつけました。アメリカでは、歌詞の一部が検閲され、聞き取りにくく加工されました。この検閲バージョンは、2009年の再リマスター版で世界的に採用されることとなります。

ジャガーの弁明とBBCの放送禁止

歌詞の内容には批判の声も上がりました。これに対し、ジャガーは「全ての女性をそう非難しているわけではない。そういう女性をたくさん見てきたから書いただけだ」と反論しています。しかし、BBCは歌詞の過激さを理由に、この楽曲の放送を禁止しました。

シングルカットとライブパフォーマンス

イギリスとアメリカではシングルカットされませんでしたが、ヨーロッパ各国ではシングルとしてリリースされ、スイスで7位、ベルギーで9位、オランダで16位と高い人気を誇りました。1973年のヨーロッパツアーからライブで演奏され始め、その後も数々のツアーで披露され、公式ライブアルバム『ラヴ・ユー・ライヴ』やDVD『フォー・フリックス』にも収録されています。

レコーディングメンバーとカバー

レコーディングには、ミック・ジャガー（ボーカル）、キース・リチャーズ（ギター、バッキングボーカル）、ミック・テイラー（ギター）、ビル・ワイマン（ベース）、チャーリー・ワッツ（ドラムス）、イアン・スチュワート（ピアノ）、ボビー・キーズ（サックス）が参加しました。また、ジョーン・ジェット＆ザ・ブラックハーツがアルバムに隠しトラックとしてカバーしています。

まとめ：時代を超えて語り継がれる問題作

「スター・スター」は、その過激な歌詞とメロディーの対比、そしてリリースまでの波乱万丈な道のりによって、ローリング・ストーンズの他の楽曲とは異なる魅力を持っています。楽曲が誕生した時代背景や、当時抱いていた社会への視点を理解することで、より深くこの楽曲を楽しむことができるでしょう。時代を超えて議論を呼び続ける「スター・スター」は、これからも多くの人々を魅了し続けることでしょう。

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