ストレプトキナーゼ

ストレプトキナーゼの概要

ストレプトキナーゼ（略称：SK）は、化膿レンサ球菌などの病原菌が外部に分泌するタンパク質です。この物質は酵素や外毒素としての性質を持っており、特に血液中のプラスミノーゲンと結合して独自の役割を果たします。

ストレプトキナーゼの仕組み

ストレプトキナーゼは、単独では酵素活性を持ちませんが、血液内でプラスミノーゲンと1対1の比率で複合体を形成します。この複合体は特異的なセリンプロテアーゼ活性によって、プラスミノーゲンをプラスミンに変換します。プラスミンは血液凝固に関与し、特にフィブリンを分解する重要な役割を持つため、このプロセスは血液凝固を阻害することに繋がります。

主要な感染機構

細菌感染の過程において、フィブリンの凝集は菌の侵入を物理的に防ぐ重要な働きをします。化膿レンサ球菌は、このストレプトキナーゼを使用することでフィブリンを分解し、感染部位から周囲の組織への浸透を容易にします。そのため、ストレプトキナーゼが本菌の病原性に寄与していると考えられています。また、この菌による「人食いバクテリア」として知られる劇症型A群レンサ球菌感染症では、組織壊死に関与するストレプトキナーゼの役割も注目されています。

医療への応用

ストレプトキナーゼは、血栓を分解する能力から血栓溶解薬としても用いられています。特に心筋梗塞や肺塞栓症の治療において、欧米では利用されています。しかし、他の新しい薬剤が開発される中で、ストレプトキナーゼの使用は減少傾向にあります。日本では血栓溶解剤としては正式には認可されていませんが、内服用抗炎症薬としての利用が認められています。

使用上の注意

ストレプトキナーゼは細菌由来のタンパク質であるため、体に投与されると免疫応答を引き起こすことがあります。最初の投与から4日以上経つと、効果が薄れてしまいます。また、アレルギー反応のリスクがあるため、通常は最初の心臓発作に対してのみ使用されるのが普通です。さらに、フィブリンの存在に関わらずプラスミノーゲンを活性化するために、出血のリスクが副作用として大きく指摘されています。

まとめ

ストレプトキナーゼは重要な医療資源ですが、その使用には慎重さが求められます。血栓溶解においての効果と、副作用のリスクを理解し、適切に利用されることが必要です。

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