ストーリーテラー (アルフィー・ボーのアルバム)

アルフィー・ボーが2012年11月12日にリリースした『ストーリーテラー』は、彼のキャリアにおいて7作目にあたるスタジオアルバムであり、珠玉のカバー楽曲を収めた一枚です。

アルバムの特色

このアルバムの最も注目すべき点は、アルフィーのこれまでの作品で多用されてきた壮大なフルオーケストラによる伴奏から大きく方向転換を図ったことです。代わりに、本作ではギター、ドラム、ベース、キーボードといった楽器構成によるロックバンド形式が初めて採用されています。これにより、各楽曲に新たな息吹が吹き込まれ、アルフィーの歌声が持つ情感がよりダイレクトに響くサウンドに仕上がっています。

収録曲

『ストーリーテラー』には、時代を超えて愛される様々なジャンルの名曲が選ばれています。収録曲は以下の通りです。

明日に架ける橋 (Bridge Over Troubled Water): ポール・サイモン作詞・作曲。サイモン＆ガーファンクルの代表曲として知られます。（4:38）
ザ・サン・アイント・ゴナ・シャイン・エニモア (The Sun Ain't Gonna Shine Anymore): ボブ・クルーによる楽曲です。（3:26）
好きにならずにいられない (I Can't Help Falling In Love With You): ヒューゴ・ペレッティ、ジョージ・ワイス、ルイージ・クレイトアーの共作。エルヴィス・プレスリーのヒット曲として有名です。（2:36）
イッツ・オーヴァー (It's Over): ロイ・オービソンとビル・ディースが手掛けた一曲。（2:54）
明日への願い (If I Can Dream): ウォルター・エル・ブラウン作。こちらもエルヴィス・プレスリーの歌唱で広く知られています。（3:10）
悲しみのアンジー (Angie): ローリング・ストーンズの代表曲の一つで、ミック・ジャガーとキース・リチャーズのペンによるもの。日本では沢田研二さんや西城秀樹さんなどが日本語詞でカバーしています。（4:42）
シャイン・ア・ライト (Shine A Light): こちらもローリング・ストーンズの楽曲で、ミック・ジャガーとキース・リチャーズの作品です。（5:20）
うわさの男 (Everybody's Talking): フレッド・ニールが作詞・作曲しました。映画『真夜中のカーボーイ』の主題歌として、ハリー・ニルソンのカバーバージョンが特に有名です。（2:54）
イッツ・ナウ・オア・ネヴァー (It's Now Or Never): エドゥアルド・ディ・カプアとアーロン・シュローダーがクレジットされています。元々はイタリアの著名なカンツォーネ『オー・ソレ・ミオ』に英語詞をつけたもので、エルヴィス・プレスリーの歌唱で大ヒットしました。アルフィー自身も、別アルバム『La Passione』でオリジナルのイタリア語版『オー・ソレ・ミオ』を披露しています。（3:59）
悲しき願い (Please Don't Let Me Be Misunderstood): ベニー・ベンジャミン、グロリア・コールドウェル、ソル・マーカスが手掛けた楽曲。日本では尾藤イサオさんが日本語詞でカバーし、ヒットしました。（4:26）
エンジェル・フロム・モントゴメリー (Angel From Montgomery): ジョン・プラインによる叙情的な一曲です。（7:30）
さすらいの旅人 (Wayfaring Stranger): 古くから歌い継がれるアメリカ民謡として知られる楽曲。（5:12）
* ランク・ストレンジャー・トゥ・ミー (Rank Strangers To Me): アルバート・ブラムリーの作品。ボブ・ディランのアルバム『ダウン・イン・ザ・グルーヴ』にも収録されています。（7:27）

これらの多彩な楽曲を通じて、アルフィー・ボーは自身のヴォーカリストとしての「ストーリーテラー（語り部）」としての才能を存分に発揮しています。ロックバンドサウンドに乗せて届けられる彼の歌声は、原曲への敬意を払いながらも、新鮮な感動を与えてくれます。このアルバムは、彼の音楽性の幅広さと、どのようなスタイルでも聴衆を魅了する表現力を証明する一枚と言えるでしょう。

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