スナヅル属

スナヅル属（Cassytha）について

スナヅル属（Cassytha）は、クスノキ科に分類される寄生性のつる植物のグループです。世界に約17種が知られており、その多くはオーストラリアに分布していますが、一部の種はアフリカや南アジアにも見られます。日本にも3種（2種3変種とする説もあり）が分布しており、それらは分布の北限にあたります。

特徴

スナヅル属の植物は、3～5mほどに成長するつる植物で、他の植物に絡みつきながら成長します。寄生植物ではありますが、葉緑素を持っており光合成を行うため、完全な寄生植物ではなく、半寄生植物に分類されます。葉は鱗片状で小さく、あまり目立ちません。根は吸着根となっており、他の植物に付着して水分や養分を吸収します。花は穂状の花序を形成し、果実は核果です。

分布

スナヅル属の分布の中心はオーストラリアですが、一部の種はアフリカや南アジアにも分布しています。特に、スナヅル（C. filiformis）は、東アジア、南・中央アメリカ、フロリダ、ハワイなど、世界中に広く分布しています。日本には、スナヅル、イト[[スナヅル]]（C. glabella）、ケ[[スナヅル]]（C. pubescens）の3種が分布しており、琉球諸島に隔離分布するイト[[スナヅル]]とケ[[スナヅル]]は、植物地理学的に興味深い存在です。

形態と進化

スナヅル属の植物は、ヒルガオ科のネナシカズラ属（Cuscuta）と外見がよく似ています。これは、異なる系統の植物が、同じような環境に適応する過程で似たような形態を獲得する収斂進化の良い例とされています。

主な種

以下は、スナヅル属の主な種とその分布です。

Cassytha aurea - オーストラリア
Cassytha candida - オーストラリア
Cassytha capillaris - オーストラリア
Cassytha ciliolata - 南アフリカ
Cassytha flava - オーストラリア
イト[[スナヅル]] (Cassytha glabella) - オーストラリア、日本（沖縄県）
[スナヅル] - ハワイ、南アメリカ、中央アメリカ、フロリダ、日本（東京都（小笠原）、鹿児島県及び沖縄県）、台湾、中国南部
Cassytha melantha - オーストラリア
Cassytha micrantha - オーストラリア
Cassytha nodiflora - オーストラリア
Cassytha pomiformis - オーストラリア
ケ[[スナヅル]] (Cassytha pubescens) - オーストラリア、日本（沖縄県）：スナヅルの変種とする説もあり（C. filiformis var. duipraticola）。
Cassytha racemosa - オーストラリア東部

その他

Cassytha Mill. (1768) はホモニムであり、サボテンのRhipsalisのシノニムです。

参考文献

沖縄県文化環境部自然保護課編 『改訂・沖縄県の絶滅のおそれのある野生生物（菌類編・植物編）-レッドデータおきなわ-』、2006年。
鹿児島県環境生活部環境保護課編 『鹿児島県の絶滅のおそれのある野生動植物-鹿児島県レッドデータブック植物編-』 財団法人鹿児島県環境技術協会、2003年。
島袋敬一編著 『琉球列島維管束植物集覧』 九州大学出版会、1997年。
Weber, J. Z.:A taxonomic revision of Cassytha (Lauraceae) in Australia.Journal of Adelaide Botanic Gardens 3:187-262, 1981

関連項目

クスノキ科
寄生植物
ヒルガオ科ネナシカズラ属
海浜植物

外部リンク

Parasitic plants: Cassytha (with distribution map)
Western Australia Florabase: Cassytha
Cassytha melantha
Museum of South Africa: Cassytha ciliolata
* Flora of North America: Cassytha filiformis

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