スバル・ブラット

ブラット（BRAT）について

ブラット（BRAT）は、スバルブランドを展開する富士重工業（現在のSUBARU）によって製造された、レオーネを基にしたピックアップトラックです。この車両は日本国内では販売されていませんでしたが、一部が並行輸入されているため、稀に見かけることがあります。

背景と歴史

アメリカでは、特に若者を中心にパーソナルカーとしてのピックアップトラックの需要が高まりました。1970年代に日本車の輸入が本格化すると、ダットサン・トラック、トヨタ・トラック、いすゞ・ファスターといった日本製のミニピックアップトラックが北米市場で人気を博しました。この状況下で、スバルオブアメリカからの「トラックを製造してほしい」という要望が富士重工業に届きました。

アメリカでは、当時輸入ライトトラックに25%もの高関税が課せられており、これを「チキン・タックス」と呼んでいました。このため、ピックアップトラックは現地で荷台を組み付ける「キャブシャシ」形式で輸出する手法が取られていました。しかし、スバルはフルモノコックボディの普通車しか生産しておらず、現地仕様の「荷箱分割方式」を適用することができませんでした。

その後、富士重工業はアメリカ政府との協議を重ね、荷台部をボディの前半部と滑らかに一体化させ、固定式のシートを荷台に設置することで、4人乗車の乗用車として輸入することを認められました。その結果、1977年10月より「BRAT」と名付けられたピックアップトラックがアメリカ市場に登場しました。

初代（1977年-1981年）

初代ブラットは1977年10月に発売され、A3型レオーネ2ドアセダンをベースにしています。フロントウインドシールドやサイドドアは共通でしたが、ボディパネルの約60%は専用の部品で構成されていました。1978年からは「スバル・MV」としてイギリスなどヨーロッパ市場への輸出が開始されました。

2代目（1981年-1994年）

1981年10月にはフルモデルチェンジが行われ、AB型レオーネ2ドアハードトップを基にした2代目が登場しました。このモデルでは、ガラス製のTバールーフ「ハローツインルーフ」がオプションとして設定されており、新たなデザインが注目を集めました。1983年からは、フロントグリルが4灯式に、バンパーもウレタン一体成型のものに改良されました。1984年にはハニカムタイプのフロントグリルに変更され、アメリカ仕様は「GL」の単一グレードで展開されました。

1985年には、オーストラリアを中心に「ブランビー（Brumby）」として輸出が開始され、中東地域においては「スバル・ピックアップ」としても販売されました。アメリカでの販売が終了した後も、ヨーロッパやアジア等の市場に対しては継続的に輸出され、1990年までAB型レオーネのボディで生産が続けられました。

車名の由来

「BRAT」は「Bi-drive Recreational All-terrain Transporter」という言葉の頭文字を取ったものです。

スバルブラットはそのユニークなデザインと機能性から、特にオフロードやアウトドア活動を好む層に愛され、現在でも一部ユーザーの間で人気を保っています。

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