スプリングフィールドXD

スプリングフィールドXD (Springfield XD)について

スプリングフィールドXDは、クロアチアのHSプロダクト社が設計・製造したHS2000拳銃をベースに、アメリカのスプリングフィールド・アーモリー社が販売している半自動拳銃です。「XD」は「X-treme Duty」の略称であり、その名の通り、過酷な環境下での使用を想定した設計が特徴です。

概要

1990年代後半に登場したHS2000は、クロアチア軍や警察で制式採用されました。その後、アメリカ市場への進出を試み、スプリングフィールド・アーモリー社がその販売とブランディングを担うことになります。2002年には、HS2000は「XD」と改名され、アメリカ市場で販売が開始されました。その後、様々な口径やモデルが開発され、タクティカルモデルやサブコンパクトモデルなど、多様なニーズに応える製品ラインナップを確立しました。2006年には.45口径モデルが登場し、アメリカ市場での人気を決定的なものとしました。

特徴

XDは、ストライカーによる撃発方式、ポリマーフレーム、トリガーセーフティーなど、グロックの影響を受けている部分もありますが、グリップセーフティーやアンビマガジンキャッチなど、保守的な要素も取り入れています。樹脂製部品の多用を抑え、前後のサイトや弾倉にスチールを使用することで、耐久性を高めています。また、薬室に実包が装填されているかを示すローディングインジケーター、ストライカーが撃発位置にあるかを示すコッキングインジケーター、そしてストライカーの不意な前進を防ぐファイアリングピンブロックも標準装備しています。トリガーメカニズムはシングルアクションですが、トリガーストロークを長くし、グリップセーフティーでシアをブロックすることで安全性を確保しています。

バリエーション

XDシリーズには、様々なサイズや使用弾薬に対応したバリエーションが存在します。

サブコンパクト: 銃身長3インチの最も小型のモデル。9x19mmパラベラム弾（装弾数10発）または.40S&W弾（装弾数9発）を使用。
コンパクト: 銃身長4インチまたは5インチ。サブコンパクトより大きく、サービスモデルと比べると全長は同じか長くなるものの、全高が低いため携帯性に優れる。.45ACP弾（装弾数10発）を使用。
サービス: 銃身長4インチの標準的なモデル。9mmパラベラム（装弾数16発）、.45ACP（装弾数13発）、.40S&W（装弾数12発）、.357SIG（装弾数12発）、.45GAP（装弾数9発）の5種類の弾薬に対応。
Ported V-10: サービスモデルをベースに、スライドに10個のマグナポートタイプのコンペンセイターを搭載したモデル。9mmパラベラム、.40S&W、.357SIG弾を使用。
タクティカル: サービスモデルの銃身を5インチに延長したモデル。射程と反動制御が向上。サービスモデルと同じ弾薬と装弾数。
XD-S: コンパクトモデルをさらに小型化したモデル。使用弾薬は.45ACPのみで、装弾数5発のマガジンはシングルカラム式。
HS9: HSプロダクト社が製造した、HS2000に手動セーフティを追加したモデル。トリガーセーフティ、グリップセーフティと合わせて3つの安全装置を備えています。

XDMシリーズ

2009年に発表されたXDMシリーズは、XDの改良版として登場しました。スプリングフィールド社が培ってきた技術を投入し、デザインから大幅な改良が加えられています。マウントレールの溝の追加、ノバックタイプのリアサイト、握りやすいフィンガーチャンネル、モジュラー化されたバックストラップなどが特徴です。装弾数も増加しており、グロックと比較して劣っていた点が改善されています。

XDM 4.5: 基本モデル。9x19mmパラベラム弾（装弾数19発）、.40S&W弾（16発）、.45ACP弾（13発）を使用。
XDM 5.25 Competition: 競技用モデル。バレルとスライドが延長され、タンジェントサイトを搭載。使用弾薬はXDM 4.5モデルと同じ。
XDM 3.8: バレル長を3.8インチに短縮したモデル。フレームはXDM 4.5モデルと同じ。.45ACPモデルは存在しません。
XDM 3.8 コンパクト: XDM 3.8をさらに小型化。グリップを短縮し、携行性を向上。9mmパラベラム（13発）、.40S&W（11発）、.45ACP（9発）を使用。
SF19: HSプロダクト社が欧州向けに販売しているXDMに相当するモデル。9mmパラベラム弾仕様のみ。

登場作品

XDシリーズは、映画、漫画、小説、ゲームなど、様々なフィクション作品に登場しています。

映画

『アドレナリン』：主人公が使用。
『ホワイトハウス・ダウン』：登場人物が使用。
『マイアミ・バイス』：登場人物が所持。
『ラッキーナンバー7』：登場人物が所持。

漫画

『カゲロウデイズ』：登場人物が使用。
『ゲート 自衛隊 彼の地にて、斯く戦えり』：登場人物が使用。
『不死の猟犬』：登場人物が使用。

小説

『ゴルゴタ』：主人公がタクティカルモデルを使用。
『ソードアート・オンライン オルタナティブ ガンゲイル・オンライン』：登場人物が使用。
『ブラック・ブレット』：主人公が「XD拳銃」として使用。
『ヤングガン・カルナバル』：登場人物が使用。

ゲーム

『デッドライジング ゾンビのいけにえ』：主人公が使用。
『バイオハザードシリーズ』：「ブラックテイル」という名称で登場。

関連項目

拳銃
グロック17
HS2000

外部リンク

HSアラン
スプリングフィールド・アーモリー・インク

スプリングフィールドXDは、その信頼性と多様なモデル展開によって、世界中の多くのユーザーに愛されています。

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