スモーキー・メディスン

スモーキー・メディスンは、1973年から1974年にかけて活動した日本のロックバンドです。短い活動期間ながらも、そのメンバー構成は日本の音楽シーンにおいて非常に重要な意味を持っています。ギターのChar、ボーカルの金子マリ、ベースの鳴瀬喜博、ドラムの藤井章司、キーボードの佐藤準という、後にそれぞれが音楽業界で確固たる地位を築くことになる実力者たちが集結していました。

バンド結成の背景には、Charが以前に所属していたバンド「Shock」と「Bad Scene」の解散があります。Charは、かねてから面識のあった金子を誘い、スモーキー・メディスンを結成しました。ライブハウスでの活動を精力的に行い、いくつかのロックフェスティバルにも参加しました。また、別名義でオムニバス・アルバムに参加したり、他のアーティストのバックバンドを務めるなど、多岐にわたる活動を展開しました。

しかし、スモーキー・メディスンは、その高い音楽性にも関わらず、バンド名義でのシングルやアルバムをリリースすることはありませんでした。唯一、売込み用のデモテープが制作されたのみで、メジャーデビューを果たすことなく解散という結末を迎えます。にもかかわらず、彼らの音楽は、日本のロックファンの中で伝説として語り継がれています。アマチュアバンドでありながら、その後の日本のロックシーンに大きな影響を与えたことは疑いようがありません。

解散後、1982年にCharのソロアルバム『Moon Child』に、スモーキー・メディスン名義で2曲が収録され、再びその名が注目を集めます。収録曲は「Show What You’ve Got Inside Of You -Mama-」とスリー・ドッグ・ナイトのカバーである「Joy To The World」です。このことが、バンドの存在を後世に伝えるきっかけとなりました。

2002年には、佐藤準を除くメンバーで「スモーキー・メディスソ」として再結成を果たし、四人囃子との対バンライブを開催。その後、2008年には佐藤を加えたフルメンバーでの再々結成が実現し、初のワンマンライブを開催しました。しかし、2009年にドラムの藤井章司が逝去したため、オリジナルメンバーでの再結成は不可能となりました。同年、鳴瀬の還暦記念アルバムには、1974年の企画アルバムに収録された楽曲「Tutti Flutti」（マイティ・マウス名義）が収録されました。

2023年、日比谷野音100周年記念イベントで再び再結成。ドラムは、バンドと縁の深い古田たかしと、藤井章司の実弟である藤井修が務めました。この再結成は、多くのファンにとって感動的な出来事となりました。

そして2024年9月には、待望のアルバム『Smoky Medicine 1974 Live -Joy To The World-』がリリースされました。このアルバムには、1974年のライブ音源やデモ音源に加え、2023年の日比谷野音でのライブ映像が収録されており、スモーキー・メディスンの活動の軌跡を辿ることができます。ライブ音源は、1974年5月3日の渋谷ジァン・ジァンと、同年7月17日の池袋シアターグリーンでの演奏を収録。さらに同年5月にエレックレコードのスタジオで録音されたデモ音源も収録されており、当時の貴重な記録が蘇ります。付属のBlu-ray・DVDには、前述の2023年日比谷野音でのライブ映像が収められており、視覚的にもバンドの魅力を堪能できる内容となっています。

スモーキー・メディスンの音楽は、時代を超えて多くの音楽ファンに愛され続けています。彼らの音楽性は、日本のロックシーンにおいて非常に重要な位置を占めており、その影響は計り知れません。短い活動期間でありながら、伝説として語り継がれる所以は、そのメンバーの才能と音楽への情熱によるものと言えるでしょう。

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