スリランカの仏教

スリランカの仏教

スリランカにおける仏教は、約70%の国民が信仰し、国の文化や社会において重要な役割を果たしています。2012年の調査によると、1422万人の信者が存在しており、憲法第9条では仏教に特別な地位が与えられているものの、国教には指定されていません。スリランカの仏教は南伝仏教、特に上座部仏教という形で広まり、シンハラ人を中心に信仰されています。この上座部仏教は、パーリ語経典を中心に教えが展開され、ミャンマーやタイなど東南アジアにも広がっていきました。

出家制度では、7歳を過ぎた者が出家できる制度があり、通常は10歳前後に得度し、見習い僧として修行を始めます。所定の10年間の修行を経て、比丘として正式に認められるためには、227の戒律を守る必要があります。また、一般の信者は五戒（不殺生、不窃盗、不邪淫、不妄語、不飲酒）を守り、日常生活の中で布施を行い、功徳を積むことが求められます。彼らは来世により良い条件で生まれ変わることを信じています。

仏教の習慣と行事

スリランカの仏教徒は、月に4回のポヤ日（上弦・満月・下弦・新月）に八戒を守り、寺院に参詣することで精神的な充実を図ります。特に、5月の満月の日にはウェサックと呼ばれる祭りが行われ、仏陀の重要な出来事が祝われます。また、7月から8月にかけてのペラヘラ祭りは、特にキャンディの仏歯寺を中心に行われ、盛大な祭りが展開されます。この祭りでは、象の背中に仏舎利や神の象徴を載せて巡行し、地域の繁栄を祈願します。祭りの起源がヒンドゥー教に由来する神々の祭りと密接に関わっていることも特筆すべき点です。

現代においては、占星術が重要視されており、国の行事や儀式の日取りは占星術に基づいて決定されることが多く、政治と仏教の関係も強いです。最高位の僧であるマハーナーヤカの任命は大統領によって行われ、新しい政権の発足時には仏教僧からの祝福を受けることが一般的です。軍隊内にも仏教系の団体があり、宗教的儀礼が行われています。

歴史的背景

仏教は紀元前3世紀にインドからスリランカに伝来したとされ、アショーカ王の王子マヒンダがミヒンタレー山で王に仏教を紹介したことがその始まりとされています。時が経つにつれて、スリランカの仏教は様々な派閥が興隆し、特に大寺派が主流を占めるようになりました。しかし、12世紀から13世紀にかけて、スリランカから東南アジアへの伝播があり、その後の植民地化によって衰退を経験することになります。

近代に入り、仏教は各宗派に分かれたものの、20世紀に入ってからはスリランカ独自の仏教ナショナリズムが形成され、シンハラ人とタミル人の間に緊張が生じ、内戦の原因ともなりました。その影響は今なお続いており、仏教が社会や政治に与える影響力の強さを示しています。

総じて、スリランカの仏教はその歴史、習慣、社会的役割において深い意味を持つ宗教であり、今後もその重要性は変わらないでしょう。

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