スロバキア民主キリスト教連合・民主党

スロバキア民主キリスト教連合・民主党（SDKÚ-DS）の歴史

スロバキア民主キリスト教連合・民主党（SDKÚ-DS）は、スロバキア共和国の歴史において重要な役割を果たした中道右派政党でした。キリスト教民主主義を基盤とするその政治的立場は、保守的なキリスト教民主運動（KDH）よりも世俗的であり、経済政策においては自由競争を重視していました。

SDKÚ-DSの前身は、1997年11月に結成されたスロバキア民主連立（SDK）です。ヴラジミール・メチアル首相の強権的な政治運営への反発から、民主連合、キリスト教民主運動、民主党、スロバキア社会民主党、スロバキア緑の党の5政党が結集して誕生しました。当初は政党連合でしたが、メチアル政権による選挙法改正によって政党連合の結成が困難になったため、各政党が組織を維持したまま、ミクラーシュ・ズリンダを党首とする新党として再編されました。

1998年の国民議会選挙では、SDKは26.33％の得票率で42議席を獲得し、民主スロバキア運動に次ぐ第2党となりました。その後、民主左翼党、市民合意党、ハンガリー人連立党と連立政権を組み、ミクラーシュ・ズリンダ首相のもとで第1次ミクラーシュ政権が発足しました。しかし、選挙後、SDKを構成する政党間の連携に亀裂が生じ、ズリンダは新たな政党としてSDKÚを結成しました。これにより、SDKは事実上解党状態となりました。

2000年1月、ズリンダはSDKを構成していた中道右派諸政党の議員と一部閣僚と共に、SDKÚを結成しました。2002年の国民議会選挙では、15.09％の得票率で28議席を獲得し、HZDSに次ぐ第2党となりました。その後、他の中道右派政党と連立して、第2次ミクラーシュ政権を樹立しました。

2006年1月、民主党がSDKÚに合流し、現在の党名であるSDKÚ-DSとなりました。2006年の国民議会選挙では、得票率18.35％で31議席を獲得しましたが、スメル・社会民主が第一党となり、民族主義政党のスロバキア国民党および人民党・民主スロバキア運動との連立政権が成立したため、野党となりました。

2010年の国民議会選挙では、政治資金疑惑を受け、ズリンダが党首を辞任し、イヴェタ・ラジチョヴァーが後任となりました。SDKÚ-DSは15.42％の得票率で28議席を獲得し、第二党の座を維持しました。しかし、SNSとĽS-HZDSが惨敗した結果、フィツォ連立政権が過半数を割ったため、SDKÚ-DSは自由と連帯、キリスト教民主運動、モストと共に連立政権を組閣しました。ラジチョヴァーはスロバキア初の女性首相となり、ズリンダは外務大臣に就任しました。

2012年3月に行われた国民議会選挙では、ラジチョヴァー政権崩壊や政治スキャンダル報道が影響し、SDKÚ-DSは議席を大幅に減らして敗北しました。ラジチョヴァーは党首を辞任し、パヴォル・フレッショが新党首に選出されました。2013年の統一地方選挙では、県議会選挙で32議席を獲得しました。

2016年3月の国民議会選挙では、得票率が5％を下回り、すべての議席を失いました。フレッショ党首は辞任し、その後、SDKÚ-DSは事実上解党状態となりました。2018年には、欧州人民党から除名されました。

SDKÚ-DSは、スロバキアの中道右派政治に大きな影響を与えた政党でした。その歴史は、スロバキア民主主義の発展と、政党政治のダイナミズムを反映しています。 様々な政治的課題や変化の中で、その存在意義を問われながらも、一時代を築いた政党と言えるでしょう。

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