ズッキーニ

ズッキーニとは

ズッキーニ（学名: Cucurbita pepo 'Melopepo'）は、ウリ科カボチャ属の一年草で、果菜として扱われます。外見はキュウリに似ていますが、カボチャの仲間であり、ペポカボチャの一種です。主に緑色のものと黄色のものがあります。

名称について

ズッキーニは、地域によって様々な名前で呼ばれています。イタリア語では「zucchina（ズッキーナ）」、南米では「zapallo italiano（サパージョ・イタリアーノ）」、アメリカやオーストラリアでは「zucchini（ズキーニ）」、イギリスやフランスでは「courgette（カージェット、クルジェット）」と呼ばれます。アメリカでは、ズッキーニや近似種をまとめて「summer squash」と呼ぶこともあります。日本では一般的に「ズッキーニ」として知られていますが、和名は「ウリカボチャ」で、蔓が伸びないことから「蔓なしカボチャ」とも呼ばれます。

歴史

ズッキーニの原産地は、北アメリカ南部（テキサス州）からメキシコにかけての地域です。16世紀頃にヨーロッパへ伝わり、特に南フランスからイタリアにかけて普及しました。その後、アメリカへ逆輸入される形で広まりました。細長い形状のズッキーニは、19世紀後半にイタリアで改良されたものです。本格的な普及は20世紀に入ってからです。イギリスでは、1950年代から1960年代にかけて料理研究家エリザベス・デイビッドによって紹介され、食材として人気を博しました。日本へは、1970年代後半にイタリア料理ブームとともにアメリカから輸入され、一般的に出回るようになりました。

形態・生態

ズッキーニはつる性の一年草ですが、つるは短く、あまり分枝しません。親づるの長さは1.5 - 2m程度で、1株あたり10 - 30本の果実が収穫できます。葉は大きく、深い切れ込みと斑があります。茎や葉には棘があり、株全体が横へ這う性質を持ちます。黄色い花を咲かせ、雌雄異花であるため、受粉には昆虫や人の花粉媒介が必要です。未成熟の果実と花は食用とされ、旬は夏（6 - 8月）です。果実は開花後3 - 5日の長さ20cmほどの未熟果を収穫します。果実の姿はキュウリに似ていますが、食感はナスに近く、ペポカボチャの仲間です。表面は滑らかで光沢があり、緑色または黄色で、筋状の斑が見られることもあります。

主な品種

日本では細長い形状のものが主流ですが、品種によってはセイヨウナシ型や球形のズッキーニも存在します。果皮が濃い緑色のグリーンズッキーニや、黄色のイエローズッキーニと呼ばれる品種があります。黄色いものは、緑色のものよりも皮が薄く、苦味が少ないのが特徴です。「花ズッキーニ」は、開花直前の花つきの幼果を食用とするために出荷されたものです。

グリーンズッキーニ: 細長い緑色の品種で、「ダイナー」「ブラックストカ」などがあります。
イエローズッキーニ: 細長い黄色の品種で、「オーラム」「ゴールドストカ」などがあります。
丸ズッキーニ: 球形のズッキーニで、「グリーンエッグ」「ブラックエッグ」「ゴールディ」などがあります。
UFOズッキーニ: 円盤形のズッキーニで、「アラジン」「スキャローブ」などがあります。
* 縞ズッキーニ: 縦に縞模様がある品種で、「ロマネスコ」「イタリアンズッキーニ」などがあります。

食材としてのズッキーニ

ズッキーニは果実と花が食材として利用されます。地中海沿岸地方では、カポナータやラタトゥイユなどの料理によく使われます。旬は夏で、果実の太さが均一で張りがあり、ツヤがあるものが良品とされます。果肉はナスに似た肉質で、ほのかに苦味があります。未熟なうちに収穫するため水分が多く、糖質が少ないのが特徴で、一般的なカボチャよりも低カロリーです。淡泊でクセのない食味で、油との相性が良いことから、炒め物や揚げ物、煮込み料理に使われます。

果実は開花後4 - 5日後の未熟果を食用とし、収穫が遅れると硬くなるため注意が必要です。キュウリに似た外観ですが、生食にはあまり向かず、加熱調理されます。フランス料理やイタリア料理の食材として知られ、ラタトゥイユには欠かせない食材です。煮込み、サラダ、スープ、ソテー、炒め物、天ぷらなど、様々な料理に利用できます。

花つきの部分は苦味があるため取り除きます。生で食べる場合は、皮を剥くか薄くスライスして食します。特に若い実で新鮮なものは、サイコロ状に切ってマヨネーズやドレッシングと合わせても美味しくいただけます。黄色種のものは皮や種子が柔らかく、生食に適しています。

ズッキーニは水分が多く、炭水化物が少ないため、低カロリーな野菜です。カロテン量はカボチャの半分以下で、淡色野菜に分類されます。β-カロテン、ビタミンC、ビタミンB群、カルシウム、マグネシウム、マンガン、銅などのミネラルをバランス良く含んでいます。β-カロテンやビタミンB群は免疫力を高め、肌や粘膜を健康に保ち、代謝を良くする効果が期待できます。ダイエットにも向く野菜と言われており、血液循環を良くし、体内の余分な水分の排出を促してむくみの解消にも役立つとされています。

栽培について

ズッキーニの栽培時期は4 - 7月で、春に種をまき、晩春に苗を植え付け、初夏から夏にかけて収穫します。栽培適温は18 - 25度、発芽適温は25度前後です。生長が早く、植え付けから1か月ほどで収穫でき、連作も可能なため育てやすい野菜です。種まきは4月頃に行い、本葉3枚になるまで育ててから畑に定植します。定植後約1か月で開花し、開花後5 - 10日で収穫できます。雌雄異花のため人工交配が必要です。収穫は毎日行い、採り遅れないように注意します。

注意点

ズッキーニにはククルビタシンという成分が含まれており、まれに含有量の多い個体があります。苦味が強い場合は食中毒の可能性があるため、注意が必要です。

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